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「懸命」90分も…G大阪“激励の白星”贈れず

[ 2011年3月16日 06:00 ]

<天津・G大阪>前半、攻め込むG大阪・宇佐美

ACL1次リーグE組 G大阪1―2天津泰達

(3月15日 天津泰達)
 東日本大震災の影響で国内のJリーグ、ナビスコ杯が軒並み中止となる中、G大阪は15日、アウェーで天津泰達(中国)と対戦した。

 先制を許す苦しい展開から前半31分、MF李根鎬(25)の一撃で一度は同点に追いつくも後半8分、勝ち越しPKを決められる。終盤は猛攻を見せるも相手ゴールは遠く、そのまま1―2で敗れた。

 勝敗を超越する1戦だった。14日に今月中のJリーグ公式戦中止が決定。甚大な被害を被った仙台や鹿島はチーム活動すらできない状況になっている。ACLも国内開催試合に至っては延期。その中にあってG大阪が震災後Jクラブでは初めての公式戦に臨んだ。この試合を迎える前、西野監督はこう話した。

 「わずかながらでも、日本の皆さんにガンバも一生懸命やっていることを伝えられれば」

 復興のメドすら立っていない。被害は日を追うごとに拡大している。サッカー関係者の中でも「試合をしていて良いのか」という声は上がっている。アジア連盟のハマム会長は「日本に関わる全ての試合を中止にすべきだ」という私的見解も示していた。だが試合は開催。指揮官をはじめ、イレブンは自分たちのできる最大限のことに努めるしかなかった。

 今季3試合目にして初めて相手に先手を奪われたが、先制点を与えたわずか6分後にFWアドリアーノからFW李根鎬とつないで同点。チーム内からは今試合で得られる勝利給を被災地に寄付する案も浮上している。勝ち点3が持つ意味は過去のどの試合よりも大きい。容赦なく降り注ぐ敵地のブーイングとラフプレーごときに負けるわけにはいかなかった。

 後半8分に微妙なPKで勝ち越し点を与えても気落ちすることはなかった。GK藤ケ谷が悪質なレーザービーム攻撃にさらされても、攻め続ける気持ちは忘れなかった。西野監督も宮城県出身のMF佐々木やMF金承龍を投入するなど執念を見せた。

 複雑な思いが交錯する1戦。勝ち点3は奪えなかったが、それでも戦前指揮官が話していた「懸命さ」は90分間、見せ続けた。

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