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アザール芸術35メートル弾!57年ぶりVへ前進

[ 2011年3月8日 06:00 ]

得点を決めチームメイトとパフォーマンスをするアザール(右端)

フランスリーグ第26節 リール1―0マルセイユ

(3月6日)
 フランス・リーグ第26節の3試合が6日に行われ、リールがマルセイユとの上位対決を2―1で制して首位を守った。移籍市場で注目される20歳のベルギー代表MFエデン・アザールが開始10分に35メートルの先制弾を決めて勝利に貢献。上位5強が勝ち点5差にひしめく混戦の中、昨季王者を敵地で破って57年ぶりの優勝に弾みをつけた。

 敵地のファンをどよめかせた。前半10分に後方からパスを受けると、素早く反転して左足を強く振り抜く。時速95キロの高速弾でゴール右上を打ち抜き、アザールがリールに先制点をもたらした。

 「前に出て何も考えずに蹴った。最も美しく決まったゴールの1つ。しかも左足だったからね」

 殊勲の20歳は利き足と反対での一撃を笑顔で振り返った。過去2季連続でリーグの最優秀若手選手に選ばれた逸材。重心が低く突破力に優れたドリブルと非凡なパスセンスに加え、この日示したように高いシュート力も備える。素早いパス回しから相手ゴールに迫るリールの攻撃サッカーを左ウイングとして支え、今季も全26試合出場で4得点6アシスト。かつて元フランス代表MFジダン氏が「未来のスーパースター」と称え、スタッフを務めるRマドリードに獲得を進言したほどだ。

 4日に15年まで契約を1年延長したが、チェルシーやアーセナルなどの参戦も伝えられる争奪戦は激しく、アザール自身「残り試合に全力で取り組むが、サッカーの世界に“絶対”はない」と微妙な言い回し。この日の活躍はチームの首位キープに貢献すると同時に、今夏の移籍市場への大きなアピールにもなった。

 就任3年目のガルシア監督が率いるチームもアザールのゴールを足掛かりにマルセイユを撃破。後半15分に一度は追いつかれたが、ロスタイムに途中出場のFWフローが決勝点を挙げ、首位を守った。これまで上位5強との直接対決は3分け2敗と苦戦。優勝候補としての競争力を問う声もあったが、4連勝と勢いに乗る名門を敵地で破り、主将のMFマビュバは「強豪とも競えることを証明した」と自信を深めた。

 5強が勝ち点5差にひしめく混戦はリーグのレベル低下が原因と指摘する声もあるが、首位を引っ張るアザールは本物。敵将デシャン監督も「本当にファンタスティックだった」と認めた会心の一撃で、57年ぶりの頂点を狙うリールを支えた。

 ◆エデン・アザール 1991年1月7日、ベルギー生まれの20歳。元プロサッカー選手だった両親の下で育ち、05年に14歳でリール入り。07~08年シーズンにトップデビューした。17歳だった08年11月18日のルクセンブルク戦で代表デビューし、国際Aマッチ17試合無得点。1メートル70、69キロ。

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2011年3月8日のニュース