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松井、香川の分も…本田圭、MVP弾決める!

[ 2011年1月29日 06:00 ]

オーストラリアとの決戦を翌日に控えた練習で、前田(左)と競り合う本田圭

アジア杯決勝 日本―オーストラリア

(1月29日 カタール・ドーハ)
 本田圭が決める。MVP弾でアジア制覇だ。日本代表は日本時間の30日午前0時から行われるアジア杯決勝でオーストラリアと激突する。勝てば2大会ぶり4度目の優勝で、各大陸王者で争う13年コンフェデ杯ブラジル大会の出場権も手中にする大一番。MF香川真司(21=ドルトムント)が骨折で離脱したザックジャパンを、MF本田圭佑(24=CSKAモスクワ)がけん引する。MVP候補にも選ばれた司令塔は、大会2点目を決めて優勝とMVPの2冠を引き寄せる。

 疲労がないわけではない。試合会場ハリファ競技場で行われた公式練習ではスパイクを履いて他のメンバーと同じ練習をこなした。しかし、体にはきしみが生じている。1次リーグ・シリア戦で痛めた左足首も万全とは言い難い。準決勝韓国戦翌日の26日は完全別メニュー。27日もスパイクは履いたが、全体練習から離れてランニング。だが、本田圭は最後の力を振り絞る。自身、そして仲間たちのために、だ。

 「もう俺の中で戦いは始まっている。日本らしいサッカーをして優勝したい」。本田圭は熱い決意を口にした。

 1次リーグ・サウジアラビア戦を除く4試合に出場。その4戦で日本は計8得点を挙げたが、そのうち6得点に絡んだ。活躍は周囲からも評価されている。28日に発表された大会MVP候補に選出された。過去の例から見ても日本が勝てばMVP獲得は確実。日本人4人目の勲章が手に入る。

 そして、優勝すればアジア王者として13年6月にブラジルで開催されるコンフェデ杯に出場できる。翌年のW杯本大会の予行演習を兼ねてブラジル、スペインなど強豪と真剣勝負できるチャンスが巡ってくる。モチベーションも高まる。

 注目度は予想を超えている。決勝のテレビ中継には51台のカメラが投入される。W杯南アフリカ大会時の34台を大幅に上回る数だ。さらに欧州各国の強豪クラブのスカウトが観戦予定。自身は「現実的には厳しい」と今冬の移籍には悲観的だが、決勝のパフォーマンスが電撃移籍につながる可能性もある。ただ個人のタイトルやステップアップのために決勝のピッチに立つわけではない。

 ともに攻撃の核として活躍した2人がチームを離れた。MF松井はシリア戦後に右太腿肉離れで離脱して帰国。MF香川は韓国戦で右第5中足骨を骨折。ドイツに戻った。オーストラリア戦は香川の背番号10と松井の背番号8のユニホームをベンチに掲げて戦うプランも浮上している。その仲間の分まで戦う覚悟だ。

 孤高のイメージが付きまとうが、素顔は違う。今回の遠征でも練習の前後にチームメートに話しかける姿が目を引く。引き分けた初戦ヨルダン戦後に行われた選手ミーティングは本田圭が主将のMF長谷部に打診して開催された。仲間思いで和を大事にする男だ。

 「ラスト1試合、もっと自分の良さを出して優勝に貢献したい」と本田圭。「次は(自分の得点の順番が)来ますよ」と決勝でのゴールも宣言している。得点への渇望を失うことなく、それでも黒子に徹した今大会。最後は「持ってる」男の左足に日本の命運が託される。

 ◆過去のアジア杯優勝とMVP

 ▼92年広島大会(11月8日・広島広域) ○1―0サウジアラビア 4度目の大会出場で初の決勝進出。前半36分に三浦知の左クロスを高木が胸でトラップしてから左足で決めて先制。井原らが安定した守備で1点を守り切って初優勝。三浦知がMVPを獲得。

 ▼00年レバノン大会(10月29日・ベイルート) ○1―0サウジアラビア 前半10分にPKを与えたが相手のミスでピンチ脱出。30分に中村の左CKを望月が右足で合わせ先制した。後半はGK川口が好セーブを連発し無失点。2大会ぶりの優勝で名波がMVPを獲得した。

 ▼04年中国大会(8月7日・北京) ○3―1中国 前半22分に福西のゴールで先制したが、その11分後に同点にされる。だが、後半20分に中田浩のゴールで勝ち越すと、ロスタイムに玉田がダメ押しとなる3点目のゴール。2大会連続3度目の優勝で中村俊輔がMVPを獲得。

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2011年1月29日のニュース