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「ゴンを追い抜くな」札幌 ランニングで珍指令

[ 2011年1月25日 11:37 ]

本隊(左奥)と逆に、先頭に立って別メニュー組を引っ張る中山(右)

 J2札幌が異例の「ゴン追い抜き禁止」令を出した。グアムキャンプが24日スタート。昨年11月に両ひざを手術したFW中山雅史(43)は、別メニュー組とともにランニングなどで調整した。同キャンプ中の完全合流が予定されているが、早期回復のため古辺考功フィジカルコーチ(40)は、ランニング中に中山を追い越さないよう選手たちに徹底させる考えを明かした。

 前代未聞の珍指令だった。発端は札幌ドームで練習していた21日。30分間走で、チームの先頭を走っていた中山を練習生のDF笠井が、大外からまくり、ゴンが負けじとペースアップする。古辺コーチが「大丈夫?」と声を掛けると「こんなもんでしょう」と中山。さらにペースはアップし「速すぎないか」と同コーチが駆け寄ると「あと5分だからさ」と、43歳は平然とした表情を浮かべた。

 しかし、明らかなオーバーペースに古辺コーチは「まずいよね。(中山は)すごく負けず嫌いだね」と頭を抱える。

 現在、佐川トレーナーとの話し合いで負傷者のメニューを決めているが、元日本代表FWの勝負根性は、設定されたものをオーバー。今季は、右内転筋付着部炎で離脱していた昨季よりも、早期の合流が見込めるだけに、別メニューでフラストレーションがたまっているゴンを刺激したくないというのが本音だ。笠井も「気持ちよく走ってしまいました。気をつけます」と話していた。

 この日、中山は右ふくらはぎの張りを訴え、別メニュー組と約20分間のランニングをこなしたものの、ボールを使ったリハビリには参加できず。佐川トレーナーは「ちょっと張りがあった。けっこう頑張ったので」と苦笑い。本隊がミニゲームなどで汗を流す中、患部を冷やしながら、じっと見守った。

 幸い大事には至っておらず、1月末から2月上旬での合流のメドには、変わりはないが、常にトップを狙うゴンの魂をくすぐらずに走る――という難題が、激しいポジション争いを繰り広げる札幌の選手たちを悩ませそうだ。

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2011年1月25日のニュース