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中東の笛、不可解判定…ザック・ジャパン怒りの1勝

[ 2011年1月15日 06:00 ]

<日本・シリア>シリアに勝利しガッツポーズを見せるザッケローニ監督

 アジア杯1次リーグB組の日本―シリア戦は13日、カタール・ドーハで行われ、日本代表はシリアに2―1で勝利。アルベルト・ザッケローニ監督(57)が公式戦初勝利を挙げた。1―0の後半31分に微妙な判定のPKで同点とされ、GK川島永嗣(27)が退場しながら、後半37分にMF本田圭佑(24=CSKAモスクワ)が日本代表の国際Aマッチ通算1000点目となるPKを決めて決着をつけた。1勝1分けでB組首位に立ち準々決勝進出は濃厚となったが、日本サッカー協会は審判の判定に不満を示しアジアサッカー連盟(AFC)に抗議した。日本は17日にサウジアラビアと戦う。

【試合結果 アジア杯日程】

 後半25分、GK川島が蹴ったボールはシリア選手に当たりオフサイドの位置にいたシリアFWマルキに渡った。そのボールを追った川島がペナルティーエリア内でマルキを倒した。その時、副審はオフサイドを示す旗を上げていた。オフサイドなら川島は反則を取られない。だがイラン人のモーセン主審は、マルキに渡ったボールは今野のバックパスだと判断しPKの笛を吹き、川島にレッドカードを突きつけた。

 日本のベンチからはスタッフ、控え選手が一斉に飛び出した。主将の長谷部を中心にイレブンも主審に猛抗議した。騒ぎの中でアグレスティ・ヘッドコーチが退席処分。今野は「僕は全く触っていない。心が折れそうになった」と訴え、イレブンは「完全なオフサイド」と口をそろえた。しかし判定は覆らず川島は一発退場となり最少でも1試合の出場停止が確定。日本は残り時間10人での戦いを強いられた。

 そんな中でもザッケローニ監督は冷静さを失わなかった。数的不利には前田をベンチに下げ、本田圭の1トップにして対応。公式戦初勝利を手にした。試合後は「10人で11人いるようなプレーを見せ、数的不利な状況で試合に勝つことができた」と満足げだったが「主審の判定には全く納得できない」と審判への不快感は隠さなかった。

 日本協会は試合後、AFCのスーセイ事務局長に口頭で抗議した。規定では、試合に関する抗議は終了後2時間以内に文書で提出しなければ受理されない。

 日本協会は当初14日にも川島の出場停止処分取り消しを求める文書を提出する意向だったが、正式な手順でないため抗議が認められる可能性はなくなった。そこで原技術委員長は「(規定を)知らなかった。口頭でOKだと思った」と失態を認めた上で、川島への判定が誤審であることと再発防止を求める意見書を出すよう方針を転換。14日にVTRを添えて大会本部に提出した。

 AFCは「期限後に提出された文書も受け取るが、正式な抗議文ではなく参考資料のような取り扱いになる」(鈴木競技部長)とし、法務委員会にかけない意向を日本協会に伝えた。日本協会はお粗末ぶりを露呈したが、今後の影響も考えてあえて意見書を出してけん制した。

 サウジアラビア戦は引き分け以上なら自力で準々決勝進出が決まる。優位な状況に持ち込んだが、中東の戦いの過酷さを痛感したことも確か。ザッケローニ監督は「この試合では機能しなかったことが2つあった。1つは審判の問題。もう1つはこれだけチャンスをつくったんだから、もっと点を取らないといけない」と決定力不足への苦言とともに審判への皮肉を口にした。

 ▼日本の準々決勝進出条件 1次リーグ最終戦はすでに敗退が決まっているサウジアラビアと対戦。日本は○または△ならば無条件でB組2位以内となり、準々決勝進出が決まる。仮に●の場合でもヨルダン―シリア戦でヨルダンが○か△ならばB組2位となり1次リーグ突破。シリアが○の場合はヨルダンと勝ち点4で同2位に並び、直接対決は1―1のドローだったため、順位決定法の(2)得失点差以下で争うことになる。現在得失点差はともにプラス1、総得点は日本3、ヨルダン2。

 ▼勝ち点が並んだ際の順位決定法 (1)直接対決の結果(2)得失点差(3)総得点(4)当該2チームが第3戦で直接対決の場合はPK戦(5)フェアプレーポイント(退場や警告を換算)(6)抽選。

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