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準決勝ともにPK決着 滝川二、18人死闘制した

[ 2011年1月9日 06:00 ]

<滝川二・立正大湘南>9人目までもつれるPK戦を制した滝川二イレブンはGK下出(中央緑のユニホーム)とだきつく

全国高校サッカー選手権

(1月8日 東京・国立競技場)
 準決勝2試合を行い、滝川二(兵庫)と久御山(京都)がともに初の決勝に進んだ。4度目の4強入りの滝川二は立正大淞南(島根)と対戦し、0―0からのPK戦を7―6で制した。久御山は後半43分に流通経大柏(千葉)に2―2に追い付かれたが、PK戦を3―2でものにした。兵庫県勢は63大会ぶり、京都府勢は93年の山城以来18大会ぶりの決勝進出。近畿勢同士の決勝は38年以来。決勝は10日午後2時5分から国立競技場で行われる。

 【滝川二0―0(PK7―6)立正大淞南】 過去3度挑戦してはね返されてきた準決勝の壁をついに乗り越えた。0―0で迎えたPK戦はサドンデスに突入。9人目にもつれたが、立正大淞南DF椎屋が失敗。長い戦いの末に滝川二が初の決勝進出を決めた。

 勝利の立役者はGK下出だ。相手の1人目はポストに当てたが、下出が蹴る前に動いたとしてやり直しに。それでも「萎縮はなかった。1本止めればいい」と集中した。5―5の7人目には大ピンチ。先蹴りの滝川二は外し決められれば敗退の場面だったが、「止めたら格好いい。負ける気はしなかった。映像で研究してコースは当たっていた」と右側に来たキックをセーブした。

 最近3試合は同じ3年生の中尾が先発で、1回戦以来の出番だった。栫(かこい)監督は少し調子が落ちていると見ていたが「力の差はないしシュートストップは上」と大一番で起用した。下出も「久々だしやってやろう」と期待に応えた。

 GKコーチはいない。下級生を引っ張ってきた下出と中尾の間には、強い絆がある。決勝に向けて、下出は「出たい気持ちはあるが、出られなくても中尾を信頼している。全員一丸でやれば負けない」と話した。

 GKに象徴されるように、快進撃の原動力はチームワークだ。「頑張った子を出したい。勝負の世界では甘いけど、それより選手の成長が大事。それが私のスタイル」と話す指揮官は試合ごとに先発を代えているが、パフォーマンスは落ちない。選手層、監督と選手の信頼関係。それがこのチームの強さだ。兵庫県勢としては1947年の旧制尼崎中(現県尼崎)以来63大会ぶりの決勝進出。無欲のチームが初めて欲をむき出しにして頂上を狙う。

 ≪樋口、得点王チャンス≫決勝に勝ち進んだことでFW樋口にも得点王の可能性が残された。1点差で追う立正大淞南MF加藤との直接対決。ライバルが決定機を逃すと、樋口も後半33分にGKとの1対1を外した。「僕が決めたら90分で勝てた」と悔やんだが、沈んでいる暇はない。プロ入りのため、進路未定のエースは得点王と初優勝のタイトルを狙う。

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