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気温36度でも30万人集結!暗かったスペイン 「世界一」の幸福に

[ 2010年7月12日 09:13 ]

噴水に飛び込んでスペインの優勝を祝うファン

 国旗の色、赤と黄が街路を埋め尽くした。「エスパーニャ(スペイン)、エスパーニャ」。歓声がはじけ、ブブゼラの音が夜空に響く。サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会でスペインが初優勝した11日の首都マドリード。欧州連合(EU)で最悪水準の失業率に苦しむ国の人々が、この夜だけは「世界一」の幸福に浸った。

 マドリード中心部のレコレトス通り。通行止めになった大通りに複数の巨大スクリーンが設置され、その前を約30万人が埋め尽くした。快晴。気温36度の猛暑。スペイン1点リードで試合終了が近づくと、群衆がカウントダウンを始め、終了と同時に地鳴りのような大歓声に変わった。
 「延長まで0対0で、苦しみ抜いた試合だった。とにかくうれしい」。学生のカップルで観戦に来ていたクリスチャン・ルイスさん(19)とアンドレア・ビリャブラナさん(18)が興奮に顔を紅潮させながら語った。
 「チームがスペインの誇りを示してくれた。国民への大きな励ましになると思う」と国営放送の幹部ミゲルアンヘル・サカルガさん(50)。スペインではここしばらく、暗いニュースが続いた。20%に迫る失業率や財政危機、金融機関の経営難、公務員の給与削減―。「これはスポーツの勝利にすぎないが、国民の間に生まれた一体感は本物だ」
 経済危機で1年前から失業中のフェルナンド・グティさん(32)は「素晴らしい試合だった。うれしい。とにかくうれしい」。スペイン国旗を体に羽織った仲間たちと両手を突き上げて優勝を祝った。(共同)

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2010年7月12日のニュース