×

ベストセーブ!?スアレスの“手”で奇跡の4強

[ 2010年7月4日 06:00 ]

<ウルグアイ・ガーナ>延長後半終了間際、アディア(右から2人目)のシュートを手で止めるスアレス(中央奥)

 【W杯準々決勝 ウルグアイ1―1(PK4―2)ガーナ】古豪ウルグアイが奇跡的な勝利で勝ち上がった。2日の準々決勝でガーナと対戦し、1―1のまま決着がつかずにもつれ込んだPK戦を4―2で制した。延長後半ロスタイムにFWルイス・スアレス(23=アヤックス)のハンドでPKを献上したが、ガーナFWアサモア・ギャン(24=レンヌ)がまさかの失敗。PK戦ではGKフェルナンド・ムスレラ(24=ラツィオ)が好セーブを連発し、40年ぶりのベスト4進出を果たした。

 ウルグアイを奇跡の勝利へと導いたのは、FWスアレスの“手”だった。試合終了間際の延長後半16分、ゴール前の混戦でガーナMFアッピアのシュートを左足で止めたが、続くFWアディアのヘディングシュートが頭上付近に来ると、両手ではじき出してしまった。ゴールライン上のハンドにより得点機会阻止で一発退場。ガーナにPKを献上したが、絶体絶命の危機で相手がクロスバーに当てて外した。
 「今大会の“ベストセーブ”。チームを救えてよかった」。退場する途中の通路でPK失敗を確認すると、“殊勲の両手”でガッツポーズ。PK戦を制してベスト4進出が決まるとピッチに飛び出し、チームメートに肩車されると、悪びれることなく大喜びした。
 勝負を左右した反則だけに、FIFAは対応について慎重に協議する意向を示しており、2試合以上の出場停止となる可能性もある。その場合、決勝もしくは3位決定戦まで出場できず、スアレスのW杯はハンドとともに終わってしまう。タバレス監督は「本能的に手が出たはず。ガーナがPKを失敗するなんて分からなかったわけだし」とスアレスを擁護した。
 PK戦では両チーム合わせて3人が失敗した後、ウルグアイの5人目としてFWアブレウが登場。決めれば勝利というプレッシャーのかかる場面で、緩やかな弧を描くチップキックで成功させた。これは76年欧州選手権決勝のPK戦でチェコスロバキアのFWパネンカが披露した“パネンカ・キック”。07年南米選手権のブラジル戦でも同じキックで決めており「それが正しいやり方と信じていた」と胸を張った。
 2度の優勝を誇る古豪ながら、ベスト4は70年メキシコ大会以来40年ぶり。南米予選では6勝6分け6敗で5位に終わり、コスタリカとの大陸間プレーオフを制して辛うじて出場権を得たが、本大会に入ると粘り強さを発揮してきた。この日は大黒柱のFWフォルランが後半10分に同点のFKを決めて追いつき、“ガラ・チャルア”と呼ばれる敢闘精神で最後まで踏ん張ったことで勝利につながった。「勝者は必ず運も味方にするもの」。古豪を率いる指揮官には、60年ぶりの優勝が視野に入ってきた。

 ◇ウルグアイのサッカー 人口約330万人は南米予選の参加10カ国で最も少ないが、国際大会ではブラジル、アルゼンチンに次ぐ実績を残している。W杯は地元開催だった1930年の第1回大会、50年ブラジル大会で優勝。五輪では24年パリ大会、28年アムステルダム大会で連覇を達成。南米選手権はアルゼンチンと並び最多14回の優勝を誇っている。伝統的な堅守のチームとして知られ、「ガラ・チャルア」と呼ばれる敢闘精神で攻守に粘り強さを見せる。

続きを表示

2010年7月4日のニュース