×

オリヴェイラ監督 愛と気遣いで偉業達成

[ 2009年12月6日 06:00 ]

<浦和・鹿島>3連覇を達成し、サポーターの前で胴上げされる鹿島のオリヴェイラ監督

 【鹿島1―0浦和】敵地さいたまの夜空に4度、舞った。鹿島・オリヴェイラ監督は圧倒的な絆(きずな)で結ばれた選手に、その体を委ねた。「夢にまでみた国で歴史を変えることができた。言葉に表せないほどの感動を感じる」。就任3年目で史上初のV3達成。顔に降り注ぐ冷たい雨さえ心地良い。5日は59歳のバースデー。最高の記念日となった。

 「勝利の方程式」を完遂した。1―0の後半41分。殊勲のFW興梠に代え、守備の人、MF青木をダブルボランチの、さらに後列に投入した。1点を守り切れば、優勝できる。その状況で、石橋を何度も叩き、J屈指の選手層を誇る浦和を追い込んだ。DF内田は「采配が凄い。戦い慣れている」と百戦錬磨の指揮官を称えた。

 ハーフタイムには、2位・川崎Fが3―0で折り返していたが、一切の情報を遮断した。「07年も08年も勝たなければいけない状況を経験している。だから川崎Fの結果は全然気にしなかった。スタッフにも伝えるなと徹底していた」と言う。まさに勝者のメンタリティー。目の前の戦いだけに集中していた。

 選手への「愛」と「気遣い」が常勝軍団を築き上げた。10月、天王山となった川崎F戦前には選手に内緒で、家族のビデオメッセージや手紙を用意し、鼓舞した。この試合の前には07年11月、奇跡の逆転優勝への足がかりとなった浦和戦(1―0)のVTRを見せていた。

 試合後の優勝会見。自ら「最後に一言」と切り出した指揮官は「小笠原に来年のW杯をテレビ観戦させてはいけない」と言った。自軍の選手に対する信頼と愛は絶対だ。既に来季続投が決定しており、オリヴェイラ体制は円熟の4季目に突入。黄金時代は終わりそうにない。

続きを表示

2009年12月6日のニュース