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“説明できない”谷口 五輪へ本能の2発

[ 2008年7月18日 06:00 ]

<川崎F・清水>2ゴールを決めた川崎F・谷口はサポーターから北京のガイドブックをプレゼントされる

 “本能の男”が五輪前に大爆発した。J1第17節最終日、川崎Fの北京五輪代表MF谷口博之(23)が、ホームでの清水戦で同点、勝ち越し弾の2得点の大活躍を見せた。五輪代表発表後初の公式戦は先制されたが、後半30、43分に立て続けにゴールして2―1と逆転。観戦した反町康治監督(44)の前で猛アピールした。リーグ戦はこの日で前半戦の17試合が終了した。

 ゴール前に、谷口がいた。後半30分、FWジュニーニョのクロスのこぼれ球が谷口の前に転がった。右足で同点弾。43分には左の山岸が放ったシュートをGKがはじいたボールの先に、またも谷口がいた。左足で力強く勝ち越し弾を叩き込んだ。2戦ぶりの勝利、大逆転勝ちの立役者は間違いなく、谷口だった。

 「悪い流れを断ち切れて良かった。常にGKのこぼれ球とかを狙っているので。2点とも簡単なゴールだから」。今季6得点目に平然と話すが、日本代表MF中村憲の言葉が、谷口の“本能”を象徴した。「タニが何であそこにいるのか分からない」。本人すら「気づいたらゴール前にいた」と説明のつかないプレーが谷口の良さだ。

 横浜ユース時代はトップ下でプレー。川崎Fでの本職はボランチだが、今季はトップ下で攻撃に絡み、クラブ初となる五輪代表の座をつかんだ。理論派の反町監督がチーム関係者に「谷口はどうやって使ったらいいの?」と相談するほど、説明のつかない本能が最大の魅力。観戦した反町監督は「アイツらしくていいんじゃない」と自身が選んだ五輪戦士の活躍に満足そうな笑顔を見せた。

 試合後、スタンドには柔道の谷亮子の名言でもある「タニで金」の横断幕が掲げられた。「次の浦和戦で勝って、気分良く北京へ行きたい」。決定力不足といわれる反町ジャパンには、頼もしいゴールハンターがいる。

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2008年7月18日のニュース