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ネイマールに“マラカナンの歓喜”つかんだ頂点、因縁ドイツに雪辱

[ 2016年8月21日 17:40 ]

<ブラジル・ドイツ>先制ゴールを決め、ボルトのポーズを決めるネイマール(AP)

リオデジャネイロ五輪サッカー男子決勝 ブラジル1―1(PK5―4)ドイツ

(8月20日 マラカナン)
 サッカーの聖地マラカナン・スタジアム(リオデジャネイロ)は、ブラジル代表=セレソンにとって聖地であり、鬼門でもあった。しかし、24歳のFWネイマール率いるブラジル五輪代表が、その不名誉な歴史に終止符を打った。

 マラカナン・スタジアムは1948年に誕生。50年に開催されたワールドカップ(W杯)ブラジル大会のメイン会場となった。優勝候補筆頭のブラジル代表は、決勝リーグでウルグアイ代表と対戦。キャパを大幅に超える20万人もの大観衆を集めるも1―2で敗れ、ショック死するサポーターまで出て、後に“マラカナンの悲劇”として語り継がれることとなる。ペレが17歳で6得点をあげ、W杯スウェーデン大会で優勝するのはその8年後のことだ。マラカナンはCRフラメンゴのホームスタジアムとして、ジーコやソクラテスらが在籍していた80年代の国内リーグでは黄金時代を築いた伝説の舞台となるが、世界の舞台からは遠ざかってしまう。

 一方ネイマールは、2010年のW杯南アフリカ大会後に代表デビュー。12年ロンドン五輪では4得点をあげ、銀メダル獲得に貢献した。そして14年、母国ブラジルで64年ぶりに行われたW杯は、ネイマールの大会になると期待された。しかし、準々決勝のコロンビア戦でDFファン・スニガの背後からのチャージによって負傷、離脱を余儀なくされてしまう。ネイマールを欠いたチームは、準決勝でドイツ代表に7失点で歴史的大惨敗を喫し(ミネイロンの惨劇)、決勝の舞台マラカナンにすら届かなかった。

 南米選手権を辞退し、五輪にこだわりオーバーエージ枠で選出されたネイマールは主将として臨んだ。グループリーグを苦労しながら勝ち上がり、チームとして尻上がりに調子を上げながら、聖地マラカナンに宿敵ドイツを迎えて挑んだ決勝戦。前半27分に左サイド28メートルからの直接FKを決めた。試合は120分の激闘の末、PK戦の5人目としてGKの動きを読み切って、悲願の勝利を自らの手でつかみとった。得点王こそ逃したものの4ゴールを挙げ、MVP級の活躍を見せた。8月20日、ブラジル五輪代表が自国開催の世界大会で初めて頂点に立った地として、“マラカナンの歓喜”は歴史に刻まれた。

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