×

【佐藤満の目】片足タックル世界に通用「東京五輪世代」に刺激与えた

[ 2016年8月21日 07:45 ]

<リオ五輪 レスリング> 決勝を戦う樋口

リオデジャネイロ五輪・レスリング男子フリースタイル57キロ級 決勝

(8月19日)
 自分のレスリングを貫いて決勝まで進出した樋口は素晴らしかったが、決勝だけ貫けなかった。それが原因で金メダルを逃した、という印象だ。

 片足タックルとアンクルホールドが最大の武器。国際舞台ではノーマークだったことも奏功した。相手右足への低いタックルと、左腕をたぐっての相手左側への両足と片足タックル。左右両サイドへの攻撃が面白いように決まっていた。初戦でロンドン銅メダリストを破り「いける」という自信をつかんだはずだ。

 しかし、決勝の相手は防御技術にたけ、柔軟性も高い選手。相手左側への攻撃でポイントを先制したが、直後に右足への片足タックルからがぶり返しを受けたことで、続く攻撃が相手左側に少し偏ってしまった。攻め続ける樋口にアクティブタイムが宣せられる不可解な判定もあるが、相手右側への攻撃がもっとあればチャンスはあった。

 それでもグレコの太田、フリーの樋口と若い世代がメダルを獲ったことで、東京五輪世代は大いに刺激を受けただろう。樋口自身、まだ20歳。技に入る前の動きはまだまだ単調だけに、パターンを増やしていけば東京も楽しみな存在だと思う。 (88年ソウル五輪フリー52キロ級金メダリスト、前日本男子強化委員長、専大教授)

続きを表示

この記事のフォト

2016年8月21日のニュース