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奥原希望 日本人対決制して4強へ「茜ちゃんの分まで」

[ 2016年8月18日 05:30 ]

<リオ五輪 バトミントン> 女子シングルスの1回戦を勝ち上がった奥原希望

リオデジャネイロ五輪・バドミントン 女子シングルス準々決勝

 日本人対決を制してメダルに王手をかけた。女子シングルス準々決勝で、世界ランキング6位の奥原希望(21=日本ユニシス)が、同12位の山口茜(19=再春館製薬所)に2―1で勝利。シングルスの日本勢では同種目で初めて4強入りし、18日(日本時間午後11時)の準決勝で同10位のプサルラ(インド)と対戦する。

 強くなればなるほど、背負うものは増えていく。周囲の期待、五輪の舞台に立てなかった選手の思い…。準々決勝を終えた奥原はまた一つ、大きなものを背負った。「茜ちゃんの分まで、この先、覚悟を持って戦わないといけない」。山口との日本人対決を制して、シングルスの日本勢で初の4強入り。はじける笑顔はない。「本当は決勝とかで戦いたかった。一緒に頑張ってきて、2人とも持ち帰るものがあってほしかった」と表情を崩さなかった。

 これまでの山口との対戦では国際大会で1ゲームも落とさずに5戦全勝だったが、この日は第1ゲームを11―21で奪われた。「最初から仕掛けてきた。ビックリして圧倒された」。ライバルのパフォーマンスが、奥原のハートに火を付ける。「勇気とパワーをもらって、私らしい試合をしないといけないって気持ちになった」。第2ゲーム以降はコートの隅を狙って山口を翻弄(ほんろう)。最終第3ゲームは、10―6からの5連続得点で一気に突き放した。

 海外遠征では2人は同部屋が多く、リオ五輪の選手村でもそれは同じ。準々決勝での対戦が決まると、少しだけ会話が減った。奥原は部屋で動画を、山口はリビングでテレビを見て過ごす時間が増えた。「少し気を使わせてしまったのかなって申し訳ない気持ちもあった」。学年では奥原が3つ上だが、「茜ちゃんの方が落ち着いていてお姉さんって感じがする。私の方がきゃっきゃしている」と言う。常に動じない山口から、先輩に対する配慮を感じた。だからこそ、「茜ちゃんの分まで」と強く思った。

 シングルスで日本初となるメダルまで、あと1勝。「こんなところで喜んでいられない。本当にいつも通り、一球一球、この特別な舞台で私らしいプレーを出したい。気を引き締めて、この先も戦っていきたい」。黄金の輝きを手に入れることができれば、世界に証明できる。奥原を圧倒し、苦しめた山口もメダルに値する選手だった、と。

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