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35歳・棒高跳び沢野 堂々7位初入賞も「まだまだできる」

[ 2016年8月17日 05:30 ]

男子棒高跳び決勝の1回目で5メートル50に成功する沢野大地

リオデジャネイロ五輪陸上・男子棒高跳び決勝

(8月15日)
 男子棒高跳びで沢野大地(35=富士通)が5メートル50で7位に入った。日本勢では1952年ヘルシンキ五輪6位の沢田文吉以来、64年ぶりの「入賞」。04年アテネ、08年北京五輪に続き2大会ぶり3度目の出場のベテランが、前回のロンドン五輪で代表漏れした悔しさを大舞台で晴らした。

 棒高跳びのレジェンドはタフだった。初出場で13位だったアテネ五輪以来の決勝。雨の影響で競技が約1時間遅れ、試合中に機械が故障してバーを手動で上げるトラブルもあった。それでも沢野は「ハプニングも楽しいと思いました。他の人は焦ったり、イライラしていましたけど」と持ちこんだおにぎりを食べたり、横になって体力を温存。5メートル50は1回目でクリア。5メートル65は3回目に体がバーをかすめて失敗し、思わず天を仰いだものの、3度目の五輪で堂々の入賞を果たした。

 「いい試合ができた。体も動いたし、いつも通りできた。(予選から)中1日でこういう戦いができて、まだまだできるという思いが生まれた」。

 9月16日で36歳になる。まだ衰えは感じていない。「スポーツ選手だとイチローさん。柔道の野村さんは引退しましたが40歳までしていました。そう考えると、問題ない」。5メートル83の日本記録を樹立した05年に比べて体重は約7キロ減の74キロとなり、疲労も感じやすくなったという。しかし、世界の場で存在感を示し「いろんな人に良い環境を整えてもらい、ここまで来られた」と感謝を口にした。

 4年前の悔しさを原動力にはい上がった。ロンドン五輪は参加標準記録Aの5メートル72を跳んでいたが、日本選手権で敗れたことが響いて代表から漏れた。「心身ともにボロボロになった」。だが「五輪に行きたい気持ちは変わらなかった。諦めなかった」。今年は日本選手権後の記録会で参加標準記録を突破。執念の代表入りを果たした。 

 現在は日大で専任講師も務める。昨年、右アキレス腱を断裂する大ケガを負ったが、不死鳥のように復活した。沢野のポールを極める情熱はいささかも衰えていない。ゴールはまだ先だ。

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