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井上康生監督 屈辱から立ち上がった“柔剛一体”追求実り「幸せの涙」

[ 2016年8月14日 05:30 ]

日本男子柔道の井上康生監督

リオデジャネイロ五輪柔道

(8月12日)
 大会を終えた井上監督はコーチだった4年前と同じように涙を流した。

 しかしその意味は全く違った。「4年前は屈辱というか自分の力のなさに悔しい思いをした。今回は素晴らしい選手、スタッフと精いっぱい戦えたことへの幸せの涙」と万感があふれた。史上初の金メダルなしに終わったロンドン五輪後に篠原信一監督の後を受けて歴代最年少で就任。柔道界の旧来の枠組みを取り払って代表に新しい風を吹き込んだ。

 「昔までは柔よく剛を制すという言葉があった。今はそんなことはできない」と“柔よく剛を制す”ではなく“柔剛一体”を追求した。ボディービルダーや栄養士を代表スタッフに迎え入れ、本格的なウエートトレーニングを導入。細かな状況設定をした部分稽古や一本稽古など練習は量だけでなく質を求め、移動時のスーツ着用など生活面の規律も徹底した。外国人選手の映像研究にも積極的に着手し男女合わせて4年間で8000試合以上のデータも蓄積した。

 「五輪は特別。想定外のことは必ず起こる。だからありとあらゆることを想定しておかないといけない」と1年前にはブラジル合宿を行い、今年に入ると候補選手に五輪までの日程表を渡して「自分自身でスケジュールを考えておけ」と指示した。今回のリオ入りも選手の希望に応じて現地入りの日を分け、心身ともに最善の準備を整えさせた。結果として男子は金2銀1銅4と7階級全てでメダルを獲得し、過去最多のメダル数を記録。「選手たちは歴史に名を刻んだ7人になった。7人7様で素晴らしい。非常に誇りに思う」と何よりもまず選手たちをねぎらった。

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2016年8月14日のニュース