×

力を出し切れなかった日本女子 東京五輪へ選手発掘と育成の同時進行が大切

[ 2016年8月9日 19:36 ]

リオデジャネイロ五輪ラグビー7人制女子 日本5―33ブラジル

(8月8日)
 【大畑大介の目】試合時間が短い7人制は先制点が何よりもモノを言う。15人制とは逆で得点した方が試合再開のキックオフを行って攻め込むため、リードされたチームはリズムを取り戻すのが難しい。ブラジル戦の日本も後半にボールを早く奪おうとディフェンスで前がかりになったのが裏目に出て、自陣深くへ蹴り込まれたキックで3トライを許した。

 日本女子は大会を通じて力を出し切れなかった印象だ。気持ちが空回りして組織より個人で戦ってしまい、行き当たりばったりの展開になることが多かった。順位決定予備戦のケニア戦のようにコンタクトや相手と1対1になる場面を限りなく減らし、数的優位の状況をつくり出してボールを動かせば戦えるが、自分たちはこれで勝負するんだという自信を持っていなかった。決定力のあるランナーにどこでボールを渡して走らせるのか、ボールの動かし方をもっと明確に、チームに落とし込む必要がある。

 恵まれない国内環境で選手たちは5年間、本当に頑張った。思っていたような結果は出せなかったが、胸を張って帰ってきてほしい。ただし、今後は継続的な人材発掘が必要となる。今大会はサイズやパワーなど、個の力の部分で明らかに強豪国に劣っていた。幸いなことに今回、能力がある他競技からの転向組が多く代表入りしたことで成功例が生まれ、門戸も開かれた。4年後の東京五輪へ、競技間の垣根を越えたさらなる選手発掘、そして日本のスタイルを浸透させる育成を同時進行させないといけない。

 五輪競技に採用されたことで世界は急速に進化している。今大会も上位に入った国の成長は著しく、フランスや英国、米国などがいいラグビーをしていた。英国は準決勝でニュージーランドに敗れたが、混成チームであることを感じさせなかった。日本は4年後へ向けて既に待ったなしの状態だと感じている。

(元日本代表、19年ラグビーW杯アンバサダー)

続きを表示

2016年8月9日のニュース