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【中村真衣の目】最後まで落ち着いていた萩野 驚くべきメンタルの強さ

[ 2016年8月7日 14:00 ]

競泳男子400メートル個人メドレーで、3位・瀬戸(左)と1位・萩野はメダルを手に笑顔

リオデジャネイロ五輪競泳

(8月6日)
 予選の結果を見て、決勝は自分のレースをさせてもらえない「勝負」になると思いました。

 萩野選手は予選ダントツで4分10秒の余裕があるレースができた。でも、その直後に瀬戸、ケイリシュ選手が4分8秒台でともに自己ベストを更新した。萩野選手には多少の動揺があり、瀬戸、ケイリシュ選手には互いに警戒感が生まれたと思います。

 そのため、決勝は思い切ったレースができず、前半200メートルまでの遅い入りになったと思う。ただ、日本選手2人によかったのは3、5レーンに分かれ、真ん中の4レーンに予選1位のケイリシュ選手が入ったことでしょう。ライバルが隣だと余計な力が入るものだからです。

 それでも、前半型の2人が予選より遅いタイムで折り返しました。3種目目の平泳ぎが強いケイリシュ選手。ここで、落ち着いていたのは、萩野選手でした。最後の自由形まで力を残すことができたのは、結果的に予選の疲れが残っていなかったからでしょう。

 ただ、それを引き出すメンタル面の強さもあった。予選後に「楽しんでいる」と言っていましたが、五輪で重圧を楽しむなんて、できることではない。国際大会に強い瀬戸選手とは対照的だった過去を克服したレースでもあったと思います。

 フェルプス、ロクテ選手ら米国勢が君臨していた種目で、2人は新旧交代と日本の力を見せつけてくれました。レース直後は、うれしいというよりホッとしたわたしですが、引退して9年、センターポールに日の丸を掲げることを夢見ていただけに、やはり、うらやましいなと感じました。(00年シドニー五輪女子100メートル背泳ぎ銀メダル)

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