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“五輪おじさん” 90歳リオは断念も「東京」への秘策明かす

[ 2016年8月6日 05:30 ]

 6日(日本時間)に開幕するリオデジャネイロ五輪に参加する日本選手に、“オリンピックおじさん”と呼ばれ1964年東京五輪から13大会連続で現地観戦を続けてきた山田直稔(なおとし)さん(90)が5日、エールを送った。治安の悪さなどから家族らに現地入りをストップされたが「自分の分も頑張ってくれ」と激励した。

 スタジアムの観客席でひときわ目立つ金のシルクハット姿、金の扇子を打ち振り、日本選手を応援してきた姿が今大会は見られない。「行きたいけどさ、周りが“どうしてもやめとけ”と止めるんだ。残念だけど仕方ない。とにかく日本の選手全員に頑張ってもらいたい」。山田さんは複雑な表情でエールを送った。

 家族や周囲が止めた一番の理由は、現地の治安悪化。リオでは殺人事件や強盗などの犯罪が昼夜問わず発生している。「長年一緒に五輪観戦してきた応援団の仲間も“やめとけ”と言う。俺は英語も話せないからな」。トランクには金のハットと扇子、日本とブラジルの国旗などを詰め込んだままといい、つい最近までリオ入りするつもりだった。旅行会社の立てたスケジュール表を手に無念の表情も見せた。

 大会ごとに自作し、五輪会場で子供たちに配る“五輪チラシ”もリオ用を準備していた。「応援歌も作った。“より速く”“より高く”“より美しく”など、それぞれの競技に合うように考えたんだが…」と、チラシを見つめていた。

 1964年東京五輪から2012年のロンドン五輪まで、13大会連続で現地応援を続けてきたことに「こんなヤツは世界で俺しかいない」と胸を張る。今回はテレビ画面越しの応援となるが「バルセロナ五輪競泳で、14歳の岩崎恭子が金メダルを獲ったのを見た。チャンスはみんなにある。みんな応援している」と、日本選手全員にメダルの期待を懸けている。

 4月に90歳になったが元気そのもの。「あんたの周りに、こんな元気な90歳がいるかよ!」と大声で笑った。都内の自宅から近くの神社まで毎日往復2キロの散歩を欠かさない。94歳で迎える4年後の東京で、リオの分も応援する。「応援は会場の空気や間を読んだ声掛けが必要。オレはその辺分かってる。会場がワーっと盛り上がる」と楽しそうに話した。

 東京五輪を盛り上げるための“秘策”も明かした。「五輪はシンボルが必要。新しい国立競技場にはそれがない。一番いいのは、江戸城の天守閣再建。1口5万円で一般の寄付を募ればいい。城には、寄付した人の名を刻む。“江戸城オリンピック天守閣”計画を小池新都知事にぜひ提案したい」と目を輝かせた。

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2016年8月6日のニュース