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師弟対決は日通・藪監督の勝ち 元指揮官に“恩返し”

[ 2016年7月21日 05:30 ]

<日本通運・西部ガス>2回無死、右越え本塁打の北川(右端)を出迎える日本通運ナイン

第87回都市対抗野球第6日・1回戦 日本通運6―3西部ガス

(7月20日 東京ドーム)
 1回戦3試合が行われた。日本通運(さいたま市)は西部ガス(福岡市)を6―3で下し、6年ぶりの勝利。藪宏明監督(49)は日本通運で現役時代の指揮官だった西部ガス・杉本泰彦監督(56)との師弟対決を制した。日立製作所(日立市)は延長12回の末に三菱重工神戸・高砂(神戸市・高砂市)に4―3で勝利。中村良憲内野手(33)が逆転サヨナラ打を放った。三菱重工名古屋(名古屋市)も2回戦に駒を進めた。

 11年に監督に就任した日本通運・藪宏明監督にとって、忘れられない1勝になった。

 相手は現役時代の指揮官・杉本泰彦監督率いる西部ガス。一時はリードを許す苦しい展開だったが、8回に4安打を集中し突き放した。師弟対決を制し「一回勝つ苦しさを知った。今日はずっと苦しかった」。チーム6年ぶりの勝利に、ホッとした表情を浮かべた。

 1メートル70の藪監督は現役時代、2番打者として小技が得意な選手だった。「目からうろこだった」と回想する、野球人生を変えた一言は杉本監督にかけられた。「おまえはホームランを打てる力がある。小さくなるな」。93年の都市対抗では、東京ドームで本塁打を放ち準優勝に貢献した。あれから23年。恩師の教えは、現在のナインにも浸透させている。11安打中、5本の長打が効いた。

 8回にダメ押しの右越え適時二塁打を放った大槻も、恩返しのためにグラウンドに立っていた。東洋大の先輩にあたる杉本監督には、日本通運入りを働きかけてもらった。「地元が同じ徳島で、会社に入れたのは杉本さんのおかげ。一番いい場所で戦えたので、勝ちたかった」と3安打の固め打ちで成長を見せた。

 社会人11年目の32歳。チーム最年長のベテランは、今年の都市対抗に懸けていた。大会前も全体練習後に自宅のリビングで素振りを日課にした。「社会人になってから一番バットを振った」と、結果につなげた。

 チームは今年、創部60周年。64年以来52年ぶり2度目の優勝へ向け、大槻は「全員が一つになって頂点を目指したい」と力強く宣言した。(川島 毅洋)

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2016年7月21日のニュース