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五輪直前のリオ 給与遅配に警官デモ、前代未聞“ノーガード”の危機

[ 2016年6月29日 18:01 ]

リオデジャネイロで警察官たちが労働条件の改善を訴えるデモを行った(AP)

 五輪直前となったブラジルのリオデジャネイロで財政危機による給与支給の遅延に対して警官たちが抗議のデモを行った。空港では「地獄へようこそ。警官と消防士には給料が支払われていません。誰が来ようとも安全ではないでしょう」と英語で書かれたバナーを持って抗議。州議会前でも約300人が集まって怒りの声をあげた。

 すでに財政の緊急事態宣言をしているリオデジャネイロ州のドルネレス知事代行はグロボ紙のインタビューに答えて、「治安予算は今週末までの分しかない。このままでは五輪は大きな失敗に終わる」とコメント。29億レアル(約877億円)を連邦政府が緊急援助しない限り、世界有数の犯罪都市と言われているリオデジャネイロの警備を保つことはできないとアピールした。

 各警察署ではコピー用紙やトイレットペーパーにも事欠く状態。パトカーなどの車両の多くはガソリンがないために出動できず、犯罪現場にさえたどり着けない危機的状況に陥っている。備品については不足分の多くを庶民が供出するという形で乗り切ってきたが、ついに給与さえも滞るようになった。

 五輪期間中には35万人から50万人の外国人観光客が訪れると予想されているだけに問題と課題は山積み。今回はロンドン五輪の約2倍に相当する8万5000人の警官と兵士を動員して安全を確保しようとしているが、このまま給与の遅配が続くと、夏季五輪開催都市が前代未聞の“ノーガード”になってしまう可能性が出てきた。

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