桐生、欧州で最終仕上げ「海外でレースをしておきたい」
日本陸上競技連盟は27日、名古屋市内で理事会を開き、リオデジャネイロ五輪代表に男子100メートルの山県亮太(セイコーホールディングス)ら12人を新たに選出した。日本選手権の3位で初代表に決定していた男子100メートルの桐生祥秀(20=東洋大)は会見に出席。7月に欧州で2試合に出場する計画を披露した。欧州での最終調整で、1932年ロサンゼルス大会の吉岡隆徳以来、日本人84年ぶりの100メートルファイナリストを目指す。
心は早くも海外に飛んでいた。五輪本番で着用するユニホーム姿で代表発表会見に出席した桐生が、リオまでの調整プランを披露。欧州の大会に参戦して、仕上げる考えを明かした。
「海外でレースをしておきたい。どんなメンバーなのか知らないけど、海外のレースでどんなことがあるのか知りたい」
日本選手権での借りを返すべく前のめり気味の教え子に代わって、土江コーチが内容を説明した。7月15日のイエーテボリ(スウェーデン)、18日のブダペスト(ハンガリー)の2つの国際大会を予定しており、競り合いの際に力む悪癖を矯正するのが目的だ。
「五輪準決勝レベルの試合を想定。勝負となった時に自分の走りができるかどうか」
競った時に力が入るのは、スプリンターのさが。桐生はそれが顕著で、楽に走る時はタイムが出るが、実力が拮抗(きっこう)した日本選手と走ると不発に終わることが多かった。100メートルの日本人としては84年ぶりの決勝に残るために自己ベストの10秒01よりいい記録が欲しいところ。大会直前での欧州遠征は、競った状況で自己記録を出せる走りを身につけることが目的だ。
3位で涙を流した25日の日本選手権の夜は、多くの知人から励ましのメッセージをもらった。その中の一人がシドニー五輪女子マラソン金メダルの高橋尚子さん。心配して長文でエールを送ったという高橋さんは、この日桐生と再会して「心配して損しました」と明るい表情に安どした様子。レース中に発症した右太腿裏のけいれんも軽症だったようで、桐生は「今日からでも走れるぐらい元気です」と、周囲の心配を吹き飛ばした。
メダルの期待が懸かる400メートルリレーは「3か4走をやりたい。4が楽しいですね」とアンカー希望を口にした。8月13日の男子100メートル予選まで46日。初五輪を満喫する青写真はできている。
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