杉本、攻めきれず「モヤモヤ」銀も“意地”見せた

[ 2012年8月4日 06:00 ]

決勝で敗れ、悔しそうに引き揚げる杉本

ロンドン五輪 柔道女子78キロ超級

 女子78キロ超級決勝で10年の世界選手権2冠の杉本美香(27=コマツ)はイダリス・オルティス(キューバ)に延長判定3―0で敗れ、銀メダルに終わった。左足にボルト2本が埋め込まれたままの27歳は、多くのケガと闘いながらたどり着いた最初で最後の大舞台。決勝では得意の払い腰をさく裂させることはできず、悔し涙を浮かべたが、男子が史上初の金メダルなしに終わるなど苦戦が続いた日本柔道の最終日に、メダル1個をプラスした。

 引きつった笑顔に隠されていたのは、杉本のすっきりしない思いだった。「うーん、悔しいっすね。あんな負け方をしたら…」。決勝は判定0―3。勝負を決定づけたのは試合開始早々の杉本の払い腰。相手の怪力に返されかけて、技が止まった。「最後まで勝ちたい気持ちはあったけど」。終始組み手でペースを握りながら、自分の柔道を貫くことができなかった。旗判定を「なんかモヤモヤな感じ」と振り返った。

 挫折から何度もはい上がってきた強さが、支えになるはずだった。高校3年の世界ジュニアで左足甲と足首を骨折。ここに埋められたチタンのボルト2本が一生抜けることはない。大学4年には左膝の前十字と内側じん帯を断裂。後十字からの移植で再建した。右膝の内側じん帯が切れたのは社会人入り後の07年7月。同時に半月板も失った。右肩の腱板は損傷を繰り返し、左肩の亜脱臼はくせになった。それでも立ち上がり続けるのは、柔道が好きだからだ。

 「もう無理じゃないかと思ったときもあったけど、諦めきれないところがあった」。両親から勧められたテニスは、ボールが飛びすぎて辞めた。だが、柔道だけは自分で見つけ、11歳で入門を訴えた。絶対反対だった父・啓次さん(56)を説き伏せたとき、唯一の約束が「辞めない」だった。以来16年。頂点は近づき、そして遠のいた。

 初日から苦戦が続いた女子。この日は早朝の計量に出かける杉本を6選手が見送り「絶対勝ってやるという気持ちになった」と言う。「結果が結果なので、負けは負けですね」と力なく笑った愛弟子に、園田監督は「逃がした魚は大きかった」とうめくように声を振り絞った。

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