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上川も惨敗…男子、史上初の金ゼロ“お家芸崩壊”

[ 2012年8月4日 06:00 ]

2回戦敗退となった上川は畳に座り込む

ロンドン五輪 柔道男子100キロ超級

 男子100キロ超級の上川大樹(22=京葉ガス)が2回戦でイハル・マカラウ(ベラルーシ)に優勢負けし、男子7階級は銀メダル2、銅メダル2で終了。64年東京で正式競技となって以降、日本が参加した10大会すべてで獲得していた金メダルは史上初めてゼロに終わった。全日本柔道連盟の吉村和郎強化委員長(61)は自らの進退伺を提出することを明らかにした。

 涙はあえて隠したのか、それとも流れる涙もかれたのか。上川は「優勝することしか見ていなかったので、それが残念です」と流れる汗もそのままに、一点だけを見つめて話した。2回戦。相手の横四方固めを19秒で返す意地は見せたものの、逆転はできず。お家芸崩壊の危機に、大トリとして立ち向かった22歳は「もう、いいですか?」を2度繰り返したのが、唯一の感情の発露だった。

 7階級で獲得したメダルは結局、銀2、銅2の計4個。本家の威信は、五輪初の金メダル0という結果で地に落ちた。天を仰いだ井上康生・階級担当コーチは「上川は緊張していたのか」の質問に「そうでもないと思うんですけど」と答えるのが精いっぱい。上川の敗戦から、篠原信一監督が取材に答えるまで30分以上を要したのが、ショックの大きさを物語っていた。

 「(上川は)技術的には金メダルを獲る力があるのに、メンタル面を強化しきれなかった。私の責任。金0の責任も私にあるし、申し訳ない。なにより、選手に申し訳ない気持ち」。かれた声になるのも仕方がない。就任直後の09年の世界選手権で金メダル0の屈辱を味わったが、10、11年は若手の台頭もあり4、2個と金メダルは確保してきた。だが、五輪は甘くなかった。

 同監督は「私が見る限り、調整に狂いはなかった」と分析したが、トップに立てる選手をそろえながら、全員のピークづくりに失敗したことは事実。2度目の「ゼロ・ショック」に対する責任問題は不可避だ。吉村和郎強化委員長は「ツメが甘いし、自分で動ける選手をつくれなかった」と反省し、自ら全日本柔道連盟に進退伺を提出することを明言。男女両監督については「この経験を踏まえて(16年リオ五輪までの)2期目をやらせてほしい」と話した。

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2012年8月4日のニュース