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佳純悔しいストレート負けで4位 日本初メダル届かず

[ 2012年8月2日 06:00 ]

卓球女子シングルス3位決定戦で銅メダルを逃し、目元をぬぐいながらミックスゾーンに向かう石川佳純(左)

ロンドン五輪卓球

 女子シングルスの3位決定戦が1日に行われ、世界ランク6位で第4シードの初出場の石川佳純(19=全農)は、同8位のフェン・ティアンウェイ(シンガポール)に0―4で敗れた。メダルを獲得すれば日本勢初の快挙だったが、あと一歩のところで逃した。3日から始まる女子団体で日本勢初のメダル獲得を目指す。

 わずか29分の完敗。石川は目を赤く染め、涙がこぼれないように上を向いた。「まだまだだな、と思った。自分がミスをするまで返された。向こうは落ち着いていたし、焦らなかった」

 第1ゲームを9―8とリードしたが、そこから痛恨の3連続失点で逆転された。第2ゲーム以降も下回転をかけたレシーブをバックに集めてきた相手ペースのラリーに巻き込まれ、打開する手がなかった。村上監督は「ラリーで先に変化をつけられ受け身になってしまった」と振り返った。

 ただ、敗れたとはいえ、日本卓球界に大きな一歩をしるした。卓球は88年のソウル五輪から正式競技に採用され、今回が7度目の実施。過去6度の大会で日本勢はベスト4を前に何度もはね返されてきたが、その壁を初出場の19歳が初めて乗り越えた。

 7歳の誕生日に、卓球選手だった両親から卓球のユニホームをプレゼントされて、のめり込むようになった。両親が自宅を改築して練習場をつくり卓球教室をオープンするとますます練習に熱が入るようになった。小5のときには山口市の大会で、当時現役だった母の久美さん(48)を3―2で破った。元国体選手だった母はそれを機に引退を決意。娘は「卓球のプロになる」と夢見るようになった。小6のときには日本選手権で3回戦に進み「愛ちゃん2世」とも呼ばれた。

 転機は前回の北京五輪。現地で憧れだった福原らの姿をスタンドから見て、「次は私もここで戦いたい」と決意した。姉のように慕う福原から「風邪予防や疲労回復にはオレンジジュースがいい」と助言されるとがぶ飲みした。強くなるために、周囲の助言を貪欲に取り入れた。

 フォアの強打への執着を捨て、持ち味の速攻や小技を磨いて臨んだ大舞台。石川は「もちろん悔しいが、まだ団体戦もあるので気持ちを切り替えたい」と前を向いた。3日から始まる女子団体。シングルスではメダルを獲れなかったが、無限の可能性を秘めた19歳の力が、明るい光をもたらす日は必ず来る。

 ▼卓球女子村上恭和監督 バック同士のラリーでもう少し互角に戦えればよかったが、先に変化をつけられて受け身になってしまった。そこが一番の敗因。

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