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中井 3決一本負けでメダル逃し涙「すいません」

[ 2012年8月1日 06:00 ]

男子81キロ級3位決定戦で敗れ、銅メダルを逃した中井貴は涙する

ロンドン五輪柔道男子81キロ級3位決定戦

 涙があふれ続けて、止まらなくなった。3位決定戦で敗れた中井は、畳の上で一瞬だけ天を仰ぐと、柔道着で目を隠した。代表最年少の21歳は「前の日まで先輩方がメダルを獲ってたんで、続きたかった。本当にメダルが欲しかった」と声を震わせた。

 北京五輪以降、7階級で唯一のメダルなし。世界と最も差があると言われる階級で、09年以降、地道に戦い続けた。切れる技はなくても、スタミナで勝負。前に出て、相手の反則を誘う柔道を、全日本柔道連盟の吉村和郎強化委員長は「今までに見たことがないタイプ」と評した。この日も最後まで技によるポイントはなかったが、メダル争いに加わった。全日本男子の篠原信一監督は「中井なりに考えて、今の精いっぱいの柔道をやってくれた」と成長ぶりを評価した。

 敗者復活戦で下したギルエイロ(ブラジル)は、第1シードで世界選手権は2年連続のメダリスト。厳しいと言われ続けた階級で、風穴をあける存在であることは間違いない。吉田秀彦、谷本歩実と五輪金メダリストを生んだ愛知の名門・大石道場出身で、来春には吉田が監督を務めるパーク24に就職する。「先は考えられない。ここでメダルを獲りたかった」と繰り返した中井に、篠原監督は「一本取れる技を身につけて、またこの舞台に帰ってくればいい」とエールを送った。

 ◆中井 貴裕(なかい・たかひろ、流通経大=柔道男子81キロ級)10年に19歳で全日本選抜体重別選手権を制覇。世界選手権は10年が3回戦、11年が4回戦敗退だった。愛知・大成高出。1メートル75。21歳。愛知県出身。

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2012年8月1日のニュース