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入江「差し馬」王子だ 6番手から3人抜きで銅

[ 2012年8月1日 06:00 ]

男子100メートル背泳ぎで銅メダルを獲得した入江は水面を叩いて喜ぶ

ロンドン五輪競泳男子100メートル背泳ぎ決勝

 入江は銅メダル獲得を確認すると右拳を水面に叩きつけた。「五輪で獲らないと意味がないと思っていた。3番を獲れたことを素直に喜びたい」。最初の50メートルを25秒82の6番手でターン。「100メートルの選手は皆、逃げ馬だけれど、僕は差し馬。最終的に差してやろうと思っていた」。ぐんぐんと加速し、昨年の世界王者ラクール(フランス)にも先着。52秒97。52秒24の自己ベストには届かなかったが、準決勝からタイムを上げ五輪初メダルをもぎ取った。

 4月の選考会後に持病のぜん息を発症し、6月には左肩を痛め、思い通りの練習ができなかった。その事実を明かし「言い訳になるし、誰にも相談できなかった。孤独だった。正直苦しかったです」と涙をこぼした。

 小学生の時はよく貧血で倒れた。北京五輪ではレース3日前に風邪をひいた。昨年の世界選手権(上海)はおなかを壊す選手が続出。入江は食事がのどを通らず、体重が64キロから60キロに激減。そんなひ弱さとは決別した。

 「100メートルも200メートルも強くなければいけない。200メートルも楽しみになってきた」。得意の200メートル(1日予選と準決勝、2日決勝)へ向け大きな自信をつかんだ。

 ◆入江 陵介(いりえ・りょうすけ)1990年(平2)1月24日、大阪市生まれの22歳。0歳のベビースイミングから水泳を始める。小2でスイミングスクールに通い、中学に入り背泳ぎに転向。男子100メートル、200メートル背泳ぎの日本記録保持者。08年北京五輪は200メートルで5位。09年世界選手権は200メートル2位、100メートル4位、11年は200メートル2位、100メートル3位。近大出。1メートル78、64キロ。血液型A。

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2012年8月1日のニュース