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鉄棒であん馬で落下 まさかのミスで内村5冠消えた

[ 2012年7月30日 06:00 ]

鉄棒で落下した内村航平は手を合わせて顔をしかめる

ロンドン五輪体操男子団体総合予選

 5冠が早くも消えた。28日の男子団体総合予選で、04年アテネ五輪以来の金メダルを狙う日本は、ミスが続出して合計270・503点の5位で30日の決勝へ進んだ。全6種目に出場した内村航平(23=コナミ)は個人総合、種目別の床運動は決勝に進んだものの、あん馬、平行棒、鉄棒でまさかの予選敗退を喫した。日本史上最多となる1大会5個の金メダルの夢は消滅。団体総合決勝では、エースの意地で体操ニッポンをけん引する。

 世界に敵なしの万能キングが、まさかのミスを連発した。1種目目の鉄棒。内村は最後の離れ技・コールマンでバーをつかめずに落下すると、3種目目のあん馬でも力なくマットに落ちた。最大目標の団体総合で予選5位通過。世界選手権3連覇中の個人総合も、合計89・764点で予選は9位にとどまった。「五輪は何が起きるか分からないって実感した。応援してくれてる皆さんに申し訳ない」と自嘲気味に笑った。

 昨年12月に代表に内定し、約8カ月間、ずっと五輪が待ち遠しかった。「だいぶイライラしていた」。たまりにたまったフラストレーションをぶつけるはずが、本来の美しさからは程遠かった。今大会では慣れている日本製の器具ではなく、フランス製のものを使用。鉄棒のしなり方が違うなどフランス製の方が硬いとされているが、内村は器具に失敗の原因を求めない。「鉄棒の落下のことをずっと考えてた。頭に引っかかったまま6種目やってしまった」と分析した。

 空前のゴールドラッシュも消滅だ。過去の五輪1大会の日本人最多金メダルは体操・中山彰規の4個。内村は団体総合、個人総合に加え、床運動、平行棒、鉄棒の5冠を視野に入れていたが、種目別決勝に進出できたのは床運動だけ。「別に種目別のためにここに来たわけじゃないんで」と強がったが、鉄棒など種目別用の超高難度の構成は、夢舞台で披露する機会がなくなった。

 30日の団体総合決勝には予選の得点は持ち越さないため、巻き返しの可能性はある。04年アテネ五輪は最終種目が鉄棒で、冨田が伸身の新月面の着地を決めて戴冠。予選5位の日本は今大会は最終種目があん馬で“栄光の架け橋”を再現することはできないが、栄光への逆襲を誓う。「自分たちの演技をするだけ。みんな開き直ってると思う」と内村。V奪回へ、エースの意地を見せつける。

 ▽体操の予選 12チームが参加する団体総合は5選手の中から各種目4人が演技し、上位3人の得点を合計する「5―4―3制」で行われる。上位8チームが進出する決勝には、予選の得点は持ち越さない。決勝では5人中、各種目3人が演技し、その全ての得点を合計する「5―3―3制」で行われる。
 個人総合は上位24人、種目別は上位8人(いずれも各国・地域最大2人)が決勝に進む。

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