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吉田号泣…連勝58でストップ「ロンドンでどうなるか」

[ 2012年5月28日 06:00 ]

ワレリア・ジョロボワ(右)に敗れ、マットに大の字になる吉田沙保里

女子レスリング国別団体戦W杯最終日 吉田1-2ジョロボワ

(5月27日 東京・代々木第2体育館)
 女王が再び悪夢に襲われた。決勝でロシアと対戦した日本は非五輪実施階級で3連勝するなど5―2で圧倒し、6年ぶり6度目の優勝を果たした。しかし、55キロ級の吉田沙保里主将(29=ALSOK)は19歳のワレリア・ジョロボワに1―2で判定負け。08年1月19日のW杯でマルシー・バンデュセン(米国)に敗れて以来1590日ぶりの敗戦で、連勝も58でストップ。ロンドンでの日本女子初の五輪3連覇へ、大きな不安を残した。

 マットを降りた直後からあふれ出した吉田の涙は、表彰台の真ん中に立っても止まっていなかった。五輪イヤーに繰り返された悪夢。初対戦の19歳に金星を献上した女王は「日本チームの優勝は本当にうれしいけど、最後にああいう戦いをして、主将として情けないし、ここで勝てなければロンドンではどうなるか、という思いがある」と声を絞り出した。

 第1ピリオドは2―1でものにしたが、第2ピリオドはタックルで相手を倒せず、逆に場外際で体を入れ替えられ、場外ポイントで0―1。最終ピリオドもタックルに入りながら、強じんな下半身の相手に突き落とされるように場外に出された。「いろんな思いが駆け巡って(タックルに)ブレーキをかけてしまう、目に見えないものがある」と苦悩も吐露した。

 08年1月の対外国人選手初黒星から、タックル対策への対応は女王最大の命題。昨年の世界選手権決勝では返し技で1ピリオドを奪われ“恐怖”がよみがえった。遠くから飛び込むのではなく、近距離でさばくタックルへ。策は練っていたが、栄和人監督は「かみ合っていないというか、自分のものにしきれていない」と指摘した。

 08年は1月に負けた後、3月にアジア選手権に出場し、北京本番へつなげた。今回は本番まで2カ月で、試合出場の予定はなく「切り替えられるかが心配」と栄監督。吉田は「流れは良くないけど、もう一度自分と向き合って、どうやったら勝てるか考えたい。ロンドンで3連覇しないと意味がない」と涙を拭い「この涙をうれし涙に変えたい」と屈辱を胸にしまい込んだ。

 ▼吉田の前回の敗戦 08年1月19日、中国・太原でのW杯。1次リーグ3回戦の米国戦に出場した吉田はバンデュセンと対戦。第1ピリオド、タックルに入ったところをすくわれるように返され、ビデオ判定の結果バンデュセンのポイントとなり1―4。第2ピリオドも同様の返し技でポイントを奪われ2―2ながら最後のポイントを獲得したバンデュセンが勝利。0―2で敗れた。

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