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「忍者」山口が10点!日本 快勝発進

[ 2012年5月20日 06:00 ]

<女子バレー世界最終予選 日本・ペルー>試合終了後、ハイタッチする(左から)江畑、山口、荒木、木村

バレーボール女子ロンドン五輪世界最終予選第1日  日本3-0ペルー

(5月19日 東京体育館)
 ロンドン五輪切符を懸けた最後の戦いが始まり、世界ランキング3位の日本は同17位のペルーに3―0のストレートで快勝した。スタメンに抜てきされた「忍者」の異名を持つ山口舞(28=岡山シーガルズ)が10得点をマーク。11得点の木村沙織(25=東レ)と江畑幸子(22=日立)に続く活躍で、目標の1位通過へ向けて好発進に導いた。20日は世界ランキング28位の台湾と対戦する。

 2セットを連取して迎えた第3セット22―16。山口は左サイドから中央へ回り込み、センターの岩坂をおとりにして、相手ブロックのジャンプの落ち際に右腕を振り抜いた。ボールは相手コートに突き刺さり、歓声が沸き上がった。勝負どころで「忍者スパイク」がさく裂し、日本はペルーを突き放した。

 山口はこの日、11得点した木村、江畑の両エースに続く10得点をマーク。決定率でも27%の木村や36%の江畑を上回る53%をキープした。初戦快勝の立役者は「レフト(木村と江畑)に集まる場面が多いので、少しでも負担を減らせるように意識した」と目を細めた。

 変幻自在の動きで、ペルーの守備を惑わした。海外ではその予測不可能の動きから「忍者」と呼ばれる。1メートル76と上背はないが、所属の岡山ではセンターで移動攻撃を得意とする。日本代表ではアタッカーを務め、大友、井上らセンター陣が相次いで離脱し昨年のW杯では、急きょセンターもこなした万能選手だ。

 W杯では新鍋ら若手の台頭で出番を減らした。スタメンを伝えられたのはこの日の午前中。「昨年は悔しい思いをした。いい経験ができた。今回は練習でも使ってもらっていたので、準備はできていました」。真鍋監督の先発抜てきにしっかり応え、指揮官も「山口は全てのプレーで安定していた」と絶賛した。

 脇役も奮闘しての快勝に、真鍋監督は「まずは勝って、ホッとしています」と息をついた。しかし「ブロックや守備がよくなかった」と過去8戦負けなしの格下相手に第2セットは日本の生命線であるサーブレシーブを崩されて追い上げられるなど課題も残った。

 2年前の世界選手権銅、昨年のW杯4位の日本は順当にいけば、余裕を持って五輪出場権を獲得できる。狙うのは五輪のメダル獲得に近づく1位突破のみ。レギュラーが保証されているわけではない山口は言った。「(自分が)アピールすることも大事だけれど、1試合1試合大切にしたい」。84年ロサンゼルス以来のメダル獲得へ、チームは一丸で全勝突破を目指す。

 ◆山口 舞(やまぐち・まい)1983年(昭58)7月3日、三重県志摩市生まれの28歳。大阪国際滝井高卒。岡山シーガルズ所属。09年ワールドグランドチャンピオンズカップで代表デビュー。10年世界選手権、11年W杯にも出場。1メートル76、64キロ。

 ▽バレーボール女子ロンドン五輪への道 8チームの総当たり戦で、(1)上位3チーム(2)残り5チームの中のアジア最上位1チームの計4チームに出場権が与えられる。五輪出場は12チームで、既に開催国の英国、イタリア、米国、中国(以上W杯上位3チーム)、ブラジル、ドミニカ共和国、トルコ、アルジェリア(以上各大陸予選突破国)の8チームが出場権を獲得している。今大会の順位決定は変則的な勝ち点制が導入され、3―0、3―1の勝利は勝ち点3を得るが、フルセットの場合のみ勝ちに勝ち点2、負けに同1が与えられる。勝ち点で並んだ場合は勝利数が多い方が上位。続いてセット率、得点率の順で優劣をつける。

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