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“ハイドロ王子”は無償の愛をいっぱい持つ男

[ 2008年1月12日 06:00 ]

 去年の夏、移植を目前にひかえた私の病室に子供?が迷い込んできた。「ボク、ママは?」「あのね…迷子になったの…なっななんでやねん!」。彼の口癖は「全力を尽くします!」。ベタであろうとノリツッコミもやはり全力である。
 魚谷智之(32)。ご存知、競艇界の大スター選手である。「明日からのオーシャンカップ、移植が成功するように僕が先にドデカイ花火を打ち上げてきますわ」と、わざわざ見舞いに来てくれた。そして前年のダービー以来、二度目のSG優勝を有言実行してみせた。それもフライング紙一重の奇跡的な00スタート。当時の私を奮い立たせてくれた事は言うまでもない。そしてなんと続くMB記念も優勝してSG2連覇達成。年末の賞金王決定戦は「悲しいお知らせがあります…」と最悪のエンジン引くも優勝3着。終わってみれば年間賞金王であった(全国勝率1位のオマケ付き)。
 信じられないが本栖研修所では落ちこぼれだった。紆余(うよ)曲折を経て、はい上がってきた男の屋台骨は強じんである。その努力と探究心は見ていて寒気がするほど凄まじい。もう完全なるアスリートです。
 魚ちゃんは競輪のゲストにも呼ばれるほど競輪が大好き。騎手の武豊しかり、最近はライバルという枠を超え、「公営ギャンブル全体で盛り上げよう」と、いい傾向になってきた。競輪選手とは何人も付き合いがあるが特に小嶋敬二との親交は深くよく可愛がってもらっている。
 「僕の真面目そうなイメージをぜひ払拭してくださいよ」と頭を下げられたが、私には伝えなければならないことがある。「自分の励みにもなるので…」と1着を取る度に賞金の一部を哲っちゃん基金に寄付してくれているのである。同時にハンセン病の支援も積極的に行っている。無償の愛いっぱい持っている人間に対し私がなぜ、どうして茶化して書けようか…。
 真面目な魚ちゃんなら夫婦生活の営みも「僕のチルト角は年々下がってきてるので今晩は3にハネ上げます。先にイカせて大外から捲りで」と敬礼してピットぃゃベッドへ潜り込むんだろうな。「魚谷艇フライングしっかーく」。てなことを蒲郡の実況で聞くと大ウケでしょうな(しりから茶化しとるがな)。
 今年は前人未到の3億円賞金王。頑張れ“ハイドロ王子”。『まんまかえーひねってひねってぇー』。

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