G1周年記念競走展望

【G1全日本覇者決定戦】正義のヒーロー瓜生、地元Vへ燃える

[ 2014年6月10日 05:30 ]

地元の大将・瓜生正義がV最右翼として外来勢を迎え撃つ体制は万全だ
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 “梅雨空を吹き飛ばす白熱譜”ホームプールに瓜生正義、篠崎元志が英姿を映す―。若松パイナップルナイター「G1全日本覇者決定戦・開設62周年記念競走」は11日に開幕する。注目のWドリーム戦で、初日12Rは(1)瓜生正義(2)今村豊(3)田村隆信(4)菊地孝平(5)湯川浩司(6)西山貴浩を選抜。2日目12Rは(1)篠崎元志(2)太田和美(3)山崎智也(4)井口佳典(5)森高一真(6)前田将太が激突。当地実績で実力伯仲の石野貴之、辻栄蔵、重成一人、平石和男、服部幸男、中沢和志もV圏の一角だ。迎撃万全の九州勢は田頭実、岡崎恭裕、平田忠則、池永太、三井所尊春、赤坂俊輔、石橋道友、桑原悠らが相性水面で好勝負は間違いない。

 先週の福岡ボートレースオールスター(笹川賞)はファン投票で最多の支持を受けながらF休暇で不出場の瓜生。今回の地元記念は“正義のヒーロー”が満を持してホーム若松で戦線をけん引する。2月の芦屋九州地区ダービーは8戦6勝オール2連対で九州の第一人者として貫禄のG112回目の優勝。続く蒲郡タイトル戦を連覇。だが3月の尼崎ボートレースクラシック(総理杯)は屈辱の予選敗退。大村記念と児島MB大賞は準優惜敗で優出を阻まれたが、現状のレース内容は決して劣勢ではない。常連の平和島グランプリ(賞金王決定戦)へ始動準備は怠りなしだ。

 若松は8月にボートレースメモリアル(MB記念)の舞台だけにまずは腕試しだ。磨き抜かれた圧巻の旋回スピードは艇界でもトップ級。それだけではなく、人間性も“トップ級”だ。地元の新人選手へ良きアドバイザー役ともなり、正月戦やGW、お盆特選は地元あっ旋となる若手が「レーサーだけじゃなくて人として学ぶことが多い」とペラ知識や旋回技術を目の前で見る絶好の機会として楽しみにしていた。

 初日ドリーム戦は当然の1号艇シードで存在感をアピール。勝って知り尽くす若松で遠征勢を一蹴して猛進Vロードで至高の戦いを披露するはずだ。

◇篠崎、相性抜群

 凄まじい気迫で地元記念に臨む篠崎にとって待ちに待ったG1復帰の舞台は相性抜群の若松。昨年8月の丸亀MB記念は強気な攻めが災いして優勝戦で痛恨の勇み足。厳しいペナルティーを科せられて1年間のSG出場権利をハク奪。悔しさを糧に昨年末の賞金王決定戦は“意気衝天”の快足でベスト6入りは篠崎の真骨頂であろう。若松は走る機会も多く07年のスポニチ杯で初優勝。新鋭戦V2、九州地区ダービー【2】、オーシャンカップ【2】、昨年12月にもV走と機歴にペラ知識も熟知のアドバンテージは何とも強み。“捲土重来(けんどちょうらい)”決断の速さで好相性と自負する若松で縦横無尽に駆け抜けて悲願の地元G1優勝へ真っ向勝負だ。

◇岡崎、雪辱果たす!

 大胆不敵な攻めに徹して好敵手でもある篠崎と好勝負を演じるのが岡崎と前田だ。10年の浜名湖笹川賞でSG初優勝を飾り全国区に大躍進を遂げた岡崎。俊敏なコーナーテクニックとスピード力は別格。若松は優勝経験を残す実績水面でGWスポニチ杯は優勝戦1号艇で鳥飼真に惜敗【2】着。今大会は雪辱を果たす再度の参戦で気迫の踏み込みに徹して狙いは優勝の二文字しかあるまい。

 記念常連組の厚いカベを撃破して今年3月の浜名湖で悲願のG2制覇は前田。今年も順調な足跡を重ねて福岡新鋭リーグ戦は10戦7勝オール2連対で新鋭の範ちゅうを飛び越した圧巻V。琵琶湖周年記念は優出【2】と強豪相手に臆面を見せぬ果敢なスタート力は凄みを増す。昨年の若松周年記念は予選トップで優勝戦は1号艇。インS決め手に1Mを先頭で旋回してG1初優勝と誰もが疑わなかった瞬間、バックで吉田弘文と接触して痛恨の落水失格。直前の福岡SGオールスターでFを切るも相性水面では大きな足カセにはならぬ。今回は悪夢払しょくと威圧感を取り戻す絶好の舞台。先手必勝の明快レースが身上の前田が切れ味鋭い爆発力で猛然とVトライだ!

◇大阪トリオ、地元勢に挑む

 地元勢に好勝負を挑むのが大阪トリオだ。年間を通してSGやG1戦でコンスタントに好成績をまとめる太田。芦屋→常滑でグランドチャンピオンを連覇して通算6回目のSG制覇。5月平和島周年記念は茅原悠紀のF離脱はあったがG114回目の優勝。見るべきは持ち味のパワフルな頭脳的な道中戦で年末のグランプリ(賞金王決定戦)に向かって足跡も順調だ。

 昨年の若松オーシャンカップで優出【4】着の実績を残す湯川。SG優勝は既にグラチャンV3を含めて通算4Vと凄まじい破壊力は周知の通り。俊敏なコーナー旋回はさらに迫力を増してファイナル圏の一角に違いない。

 若松とは相性いいのが石野だ。12年のMB大賞では瓜生、松井繁らを一蹴して優勝。5月の“あるあるYY劇場杯”はペラ調整に専念してV逃げ圧倒。ペラマッチの方向性と現モーターの乗艇経験は何とも強みとなる。期待が集まる中で切れ味鋭く臨機応変の快腕を駆使して“若松連覇”へ確実に地歩を固めよう。

◇菊地ドル箱水面でV候補名乗り

 今節は上位陣に銘柄スターが大挙参戦。若松は菊地と田村にとって出世街道へ向けて第一歩を記したメモリアルプール。05年の開設52周年記念でG1初優勝を飾った菊地はその勢いで第51回MB記念も制覇してSG初戴冠。09年の第14回オーシャンカップでも激走Vと若松はドル箱水面。直前の福岡オールスターは鋭い差しワザでSG3度目の頂点に立ち獲得賞金でも2位に躍進してグランプリ出場へ視界良好。

 田村も04年の第9回オーシャンカップは圧巻のカドまくり一撃でSG初制覇。銀河系軍団の先駆者となり勝負どころで見せる積極果敢な位置取りは今節も注目の的だ。

 ハンドルさばきの確かさは山崎。2年前に悲願のグランプリ(賞金王決定戦)は面目躍如の勝利。今年は先手必勝の明快レースで浜名湖、琵琶湖、平和島周年記念でG13勝の圧勝劇。展開に順応した展開を読む鋭角戦は重要なキャストの一角に間違いない。

 井口にとって昨年の福岡笹川賞でSG初優勝を飾った愛弟子・新田雄史の成長はいい刺激材料。若松は開設58周年記念で優勝実績を残して苦手意識はない。スピード旋回に凄みを増してきた俊才・井口が鋭烈スタートで先頭集団を形成する。

 スロー域を主戦場としてV圏進出を狙う名人・今村。直前の福岡オールスターは予選トップ通過で優勝戦は1号艇で菊地に巧差しを許し惜敗2着も“名人”存在を証明。イン水域へ積極果敢に動いて勝機を狙う深川と石川。自在派の服部や烏野、平石も候補の一角になる。

◇機力一変、27&24号機

 「レーザー自動測定による“1周タイム”を公開」してファンへ舟券推理のデータを提供している若松。6月中旬は梅雨に入り高温多湿の気象状況は機力維持にペラ調整は不可欠。昨年12月の使用開始から14~15節消化。冬場はエース級と評価されたモーターが使用間隔や上昇気温の影響で3月以降は回転調整に時間を要して下降気味な傾向が続いている。低勝率機はシリンダーやキャリボディーとセットでピストンやリングを交換。5月に入り凍結防止温水パイプが外れて機歴勝率だけで良否の判断はできない現状だ。樋口喜彦や藤田靖弘が展示タイム突出の14号機。赤岩善生が本体整備に着手して完全優勝を飾った27号機や、24号機は整備効果で機力一変。田口節子→秋山直之が連続優勝の47号機。山口剛が優出?着の56号機も上昇機。佐藤旭がV逃げの7号機はバランス型。島田賢人が若松初Vの16号機。中尾誠が優勝した38号機や、優出最多5回の42号機。ペラマッチ次第で34、45、50、52、53、64もファイナル圏の有力機。序盤好調だった15号機や65号機は高勝率を残すが疑問符が付く動きで再確認が必要だ。

 前節から真っ赤にカラーリングされた新ボートが登場。フロント・サイドのカウリングにはカーボン調のデザインも施されて、これまでにない斬新なデザイン性を持って今大会の「赤船来航~」のキャッチコピー画にもなっている。

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