G1周年記念競走展望

【G1江戸川大賞】石渡、波に乗る!勢いに乗る!

[ 2014年6月4日 05:30 ]

当地通算14Vと江戸川では主役は譲れない石渡鉄兵
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 ボートレース江戸川のG1「開設59周年記念江戸川大賞」はあす5日、開幕する。屈指の波巧者が勢ぞろいするが、主役はなんといっても“江戸川テッペイ”こと石渡鉄兵(39=東京)。2月の関東地区選手権(平和島)を制し、関東チャンプとして凱旋する。昨年の58周年で初のG1タイトルを手にした岡村仁(30=大阪)は連覇を狙って登場だ。

◇石渡、昨年の雪辱だ

 2月の平和島関東地区選を制し、江戸川以外で初のG1タイトルを獲得。関東チャンプを襲名して活躍の幅を広げる1年となるが、「プライドオブ江戸川」の炎は消えることはない。石渡は「毎年(江戸川周年に)なるべく調子を持っていくようにしているし、何となく上がってくる」と臨戦態勢を整える。

 同大会は過去2度制覇。10年優勝戦は1周2Mの逆転劇で悲願のG1初優勝を果たした。12年はポールポジションから鉄壁の逃げ。2回のG1優勝を含めて当地通算V14と“江戸川テッペイ”たるゆえんを遺憾なく発揮する。

 こだわりは一撃仕様のレース。「道中、回り足で抜かれるよりも、スタートして下がる方が自分の中で絶対に許せない。自分で仕掛けるというか、他の人の動きで制限されるのが嫌」と穏やかな口ぶりとは対照的な負けず嫌い。まくり一発のスタイルでSGウイナーの仲間入りを見つめる。

 年末のグランプリ(賞金王決定戦)の舞台は00年以来14年ぶりの平和島。東京支部の選手として最大の目標になるが、関東地区選を制してから足踏み。3月尼崎のSGボートレースクラシック(総理大臣杯)を含めて特別競走で予選の壁を破れず「ホッとしちゃったのか、勢いに乗れなかった」。

 よりエンジン抽選に左右される現行プロペラ制度下で、絶えず伸びを引き出すのは困難な状況。「いつも出ている時のイメージで走っていたが、もう少し臨機応変にしないといけないのかな。1回は伸び型を試しますけど(笑い)」と幅を広げようと努める。グランプリの前哨戦と銘打たれた5月の平和島周年では、序盤の伸びを多少犠牲にしてでも、レース足をつけて予選を突破。浮上のきっかけをつかんだ。

 前回覇者として臨んだ58周年は展示航走でまさかの転覆。2日目で脱落し「成績は悪かったわけではないが、昨年はこけてばっかりいるのでしっかり走らないと」と活躍を誓った。

◇岡村、史上初連覇だ

 前回覇者がV2へ気合十分だ。岡村は昨年の58周年記念で、初めてG1の優勝戦に進出。3号艇と決して優位な立場ではなく、1Mも伸び抜群の三井所尊春に外から攻められる厳しい展開だった。だが、外の攻めを巧みに受け止め、先まくりに成功。見事にG1初優出Vを達成した。

 この優勝により、SG戦線への道が一気に開ける。まずはG1を制覇したことで、ボートレースクラシック(総理大臣杯)の出場権を獲得。さらに、優勝賞金900万円を手に入れたアドバンテージを生かし、チャレンジカップとグランプリシリーズ(賞金王シリーズ)に参戦した。今後もグランドチャンピオンとオーシャンカップに出場予定。「昨年の江戸川でSGの権利を獲ってから、SGに続けて出場できる流れに乗れた。この恩返しをしたいので、また周年で活躍したい」。感謝の気持ちを胸に秘め、戦い抜くことを誓った。
 飛躍の契機となった水面だけに、江戸川には好印象を抱いている。「僕は走る位置やハンドルを切るタイミングを決めていない。そういうアバウトなスタイルが水面に合っている気がする。波や風も嫌いじゃない。江戸川ではFを切ったことがないし、スタートのサバの読み方も合っているのかも」。全国屈指の難水面だが、岡村の乗り方にマッチしているようだ。

 今年は13節に出場し、G1近畿地区選手権と前節・住之江一般戦の準優勝が最高成績。優出も、この2度しかない。G1のあっせんが増えたことで、戦う相手が格段にレベルアップ。その結果、苦戦を強いられることが多くなった。「最近は勝率が伸び悩んでいる。去年は江戸川で1段上のステップに上ることができた。今年も江戸川でもう1段ステップアップしたい。この周年記念で昨年のように弾みをつけたい。連覇を狙っていく」。史上初の江戸川大賞連覇で歴史に名を刻むと共に、今年の後半戦に向けたリズムアップを図る。

◇飯島、流れが好き

 全国通算勝率6・44に対し江戸川通算6・83。飯島の江戸川巧者ぶりは数字にも現れている。

 「昔は拒否していた選手が多かった。自分は拒否も希望も出していなかったが、多い時期は1つおきにあっせんが入った」。埼玉支部でありながらこれまで340走。今シリーズの中でも6番目に多い。「ここで勝てなかったら勝率が上がらない。そんな気持ちで必至に走っているうちに慣れた。江戸川は慣れですよ」と、振り返る。

 その成果がデビュー13年目となる06年11月のモーターボート大賞Vだ。王道のイン逃げでG1初制覇。真の江戸川巧者の仲間入りを果たした。

 「流れが好き。安定板がつくくらいに荒れた方がいい」と、現在もなお江戸川を愛する飯島にとって、当地記念は気合が違う。「昔ほど握って回れないが、それでも慣れている分は確実に有利だと思っている」。遠征陣に主役の座を渡してたまるかと言わんばかりの意気込みは健在。

 12、13年の年末シリーズでは2年連続F敗退。名誉挽回も兼ね、メモリアルプールで2度目のG1制覇を狙う。

◇荒井、地元勢に匹敵

 石渡と並び、江戸川では絶対に目の離せない存在がいる。荒井輝年だ。当地では過去320走で1着107回。1着率33・4%は石渡をも上回る数字だ。「江戸川は、他場ではあり得ない走り方をしないといけない。スタートの起こしも大体、決まった位置がある。僕は(江戸川で)たくさん走らせてもらっているので、それがアドバンテージになっている」。癖のある水面だからこそ生きる経験値。地元勢に匹敵する出走回数が、相性の良い要因だ。

 また、荒れ水面に対する心構えも違う。「江戸川では舟券を買う側も必死なら、走っている側も必死。危ない中を気持ちで乗りこなすのが良い。ギャンブルとは本来そうあるべきだと思う。江戸川に行くと、初心を思い出させてもらえる」。がむしゃらに走っていた若かりし時と同じ気持ちになれるのだろう。

 4月の当地一般戦でも低勝率機で準優勝と活躍した荒井。江戸川ではレースっぷりだけでなく、機出しテクニックにも定評がある。今大会も強力な舟足を引き出し、盛り上げ役となってくれるはずだ。

◇若林、今年好調

 江戸川を準地元プールとする若林将が、好リズムで当地周年記念に乗り込んでくる。前節の下関一般戦こそ初日で途中帰郷したが、4節前の平和島スポニチ杯と3節前の住之江一般戦を連続V。2節前のG1平和島周年記念でも、超豪華メンバーを相手に予選3連対で準優勝戦に駒を進めた。

 「最近は早いスタートを決めることを心掛けている。スリットで先行すると、内の人が焦ってくれる。それが大きい」。

 好調の理由をこう語ったが、その言葉通り、今年の平均スタートタイミングはコンマ13。鋭い踏み込みが、5優出3Vという今年の好成績につながっている。

 そして迎える江戸川周年。最も思い入れがあるレース場のG1だけに、自然と気合も入る。「江戸川にはメモリアル(モーターボート記念)に推薦してもらったこともある。お客さんが応援してくれるのも分かるので、なんとか頑張りたい」。地元の平和島周年で、初めてG1の予選を突破した若林。その成長曲線は確実に上昇カーブを描いている。準地元でG1初優出、そして初Vを達成しても不思議はない。

◇浜野谷、そろそろ

 今年のグランプリ(賞金王決定戦)開催場が平和島に決まってから、賞金トップ18入りを目標に掲げている浜野谷憲吾。だが、ボートレースオールスター(笹川賞)終了時点のランキングは48位。そろそろ年末に向けてギアチェンジをする必要がある。そのタイミングとして、今回の江戸川周年は絶好だ。当地では昨年8月のお盆開催に、11月のMB大賞と連続優勝中。さすがは東京のエース。都内3場では、どこでも強い。1号艇で臨む初日ドリーム戦から、軽快な走りを見せてくれるはずだ。

◇松井、当地初Vへ

 賞金ランキングを独走する“絶対王者”松井は06年のモーターボート大賞以来約7年ぶりの参戦。3月のボートレースクラシック(尼崎)を制し「しばらくはゆっくり走りたい」と話していたが、5月の津周年記念で今年2度目のG1優勝。ボートレースオールスター(福岡)でもしっかり予選を突破した。当地出場はMB大賞を含めて数える程度。難水面を攻略し、当地初Vを飾るか注目だ。

◇赤岩、全場制覇へ

 赤岩は当地以外の23場全てで優勝しており、全24場制覇にチャレンジする。今年に入って本調子とは言えないが、4月の若松で自身9回目の完全優勝を達成。続く蒲郡でも優勝し、津周年記念で約2年ぶりのG1優出(5着)とリズムを上げてきた。妥協なく整備を繰り返し「ボートレースは自分の天職」と話す“漢(おとこ)”の偉業達成はあるか注目だ。

◇江戸川の水面

 全国24場で唯一、河川を利用したレース場。河口近くに位置するため水質は汽水で潮の流れが生じる。一番の特徴は風の影響を受けやすいところ。流れと風向きが同じ方向ならば対応する選手も出てくるが、スタートの起こし、初動の位置が他場と異なるため好き嫌いがはっきりと分かれる。上げ潮、追い風ならば差しが有効。下げ潮、向かい風ならばダッシュ戦のまくりが本線になる。潮と風がぶつかり合う荒水面の時は迷わず波巧者から狙うのが基本。研究を重ねれば最も当てやすい水面ということになる。

◇初日ドリーム展望

 昨年のお盆開催、モーターボート大賞と当地連覇の浜野谷が1号艇。先マイの主導権は渡さないだろう。今年の主役とも言える松井は06年11月のモーターボート大賞を最後に当地出場なし。水面状態に左右されることは免れない。旋回の切れ味を展示航走で見極めてから狙いたい。新田、白井はコンスタントに当地出場を果たしており実力なりの走りが可能。それ以上に気になるのが前年覇者の岡村、水面慣れした中野の存在になる。特に最内差しから道中勝負に持ち込める中野に警戒。

◇2日目ドリーム展望

 DR第2弾は当地巧者が勢ぞろいした印象。その中でも群を抜いている石渡が信頼の本命を担う。SG制覇秒読み段階とされている峰がシャープなハンドルでばきで襲いかかる。昨年グランプリ出場の斉藤もワンランク上の走りを披露したいところ。本戦を崩すなら熊谷だ。カド位置ならば攻めの一手。スタートでのぞけば強引に絞り込んで内一掃を敢行。そうなると山口に差し場。オールスターのFでS勝負は封印も展開は十分になる。当地では積極的な攻めが目立つ平尾で波乱も。

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