藤井正弘の血統トピック

父サムソンから継ぐDNA、侮れない叩き上げ型3歳アンジュ

[ 2016年11月10日 05:30 ]

 世代を超越した最強牝馬決定戦という位置付けのエリザベス女王杯だが、過去10年の優勝馬は3歳5頭、4歳3頭、5歳2頭と、3歳優勢の傾向。牝馬3冠の優勝馬が不在となった今年も警戒は怠れない。

 血統面からはデンコウアンジュに穴の気配が漂う。06年の2冠馬メイショウサムソンが送り出した今のところ唯一のグレード勝ち馬である。

 単勝8280円のロングショットとなった昨秋のアルテミスS。逃げ切り濃厚に映ったメジャーエンブレムを大外一気に差し切った爆発的な末脚は今なお鮮烈な印象を残している。2番人気で7着に敗れた阪神ジュベナイルフィリーズ以降は走るたびに株を下げてしまった感じだが、早熟型と決めつけるのはまだ早い。

 父のメイショウサムソンは、オペラハウス産駒の二枚看板といえる世紀末の連勝王テイエムオペラオー同様、典型的な叩き上げ型のチャンピオンでもあった。5歳で凱旋門賞を制した数少ない馬の1頭である母の父マリエンバードも重厚な欧州血脈の塊。重賞勝ちもさることながら、そもそも2歳戦で勝ち上がったこと自体が驚きといえるほどの晩成血統なのである。

 父の産駒のG1最高着順は、3年前のこのレースで初世代のトーセンアルニカが記録した4着。その上を行く馬券圏内突入をひそかに期待している。(サラブレッド血統センター)

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