藤井正弘の血統トピック

ブラック距離不問“4階級制覇”も視野

[ 2016年6月23日 05:30 ]

 キタサンブラックのプレレーティング118ポンドは、今回の出走予定馬の中で2位タイ。これは神業のような差し返しを見せた春の天皇賞で得たものではなく、勝ったアンビシャスより2キロ重い58キロの斤量で首差2着に入った大阪杯が評価対象となるIコラム(中距離)の数値だ。

 ちなみに昨年は菊花賞優勝と有馬記念の3着によってEコラム(超長距離)とLコラム(長距離)で117ポンドの最終レーティングを得たほか、スプリングS優勝と皐月賞3着でMコラム(マイル)とIコラムでも112ポンドの隠しレーティングを持っていた。“4階級制覇”まで視野に入る距離面の可動域の大きさこそ、春の天皇賞馬アンバーシャダイの全妹に、秋の天皇賞馬サクラユタカオーを交配して生み出された偶発的なスピード馬でもある「母の父サクラバクシンオー」のDNAに内在していた資質といえるのかもしれない。

 父のブラックタイドはディープインパクトの全兄。キタサンブラックが制した菊花賞と春の天皇賞は、どちらもディープインパクト産駒が勝っていないG1だった。種牡馬として“兄の意地”を示したというべきか、あるいは理想的な相互補完が成立しているというべきか。いずれにせよ、宝塚記念も種牡馬ディープインパクトに残された数少ない未勝利G1。「二度あることは三度」である。 (サラブレッド血統センター)

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