藤井正弘の血統トピック

フジキセキ最終世代 悲願Vへ最接近

[ 2014年4月16日 05:30 ]

 ハープスターに余裕の全権委任で4連覇を達成した桜花賞とは一転、皐月賞の種牡馬ディープインパクトは4頭出しの物量作戦。

 東京コースで開催された11年はダノンバラードが3着、12年はワールドエースが2着、そして昨年はカミノタサハラが4着と、過去3世代はあとひと押しが足りなかったのだが、今回は父子2代のデビュー4連勝での皐月賞制覇に挑むトーセンスターダムを筆頭に、トライアルの弥生賞3着馬アデイインザライフ、前出カミノタサハラの全弟ベルキャニオン、毎日杯3着のステファノスという豊富な手駒をそろえてきた。戦力的には上位独占も可能と思われるだけに、ここで“2代制覇”を逃すようなら牡馬の第1冠は血統的な鬼門として先々に禍根を残すことになるかもしれない。

 ディープインパクトの場合はまだ4世代目だが、種牡馬フジキセキにとっては周知の通り16世代目となる現3歳が事実上の最終世代。00年ダイタクリーヴァ、06年ドリームパスポート、11年サダムパテックと、過去3頭の連対馬を出した皐月賞は、不敗の4連勝を飾った弥生賞直後に屈腱炎に倒れた19年前の“幻の皐月賞馬”が種牡馬として渇望してきたタイトルでもある。唯一の重賞2勝馬イスラボニータ、スプリングS勝ちのロサギガンティアの2頭出しで臨む今回は、クラシックサイヤーの称号を手に入れる最大にして最後のチャンスだ。

 最終世代つながり?で要注意はアドマイヤドン産駒のアドマイヤデウス。フジキセキの陰に隠れているものの、10年の種付けシーズンを最後に韓国に渡ったアドマイヤドンもまた、今年が最後のクラシックイヤーとなる。JBCクラシック3連覇などダート部門で長期政権を築いたこの父だが、本をただせば朝日杯フューチュリティSを制した2歳王者。大スペクタクルを堪能させてくれた最新の桜花賞馬の伯父(母の半兄)である。終わってみれば牡馬の方も“ベガの孫”だった、という可能性なきにしもあらずだろう。(サラブレッド血統センター)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る