藤井正弘の血統トピック

配合面に潜んでいたソットサスの道悪適性

[ 2020年10月7日 05:30 ]

 人気の一角ラブの直前回避、禁止薬物がらみのオブライエン厩舎4頭の出走取り消しと、スタート前から荒れ模様だった第99回凱旋門賞は、歴史的名牝エネイブルがキャリア初の着外に敗れる波乱の結末となった。

 着順確定までの長い審議を含め、最後までもつれた肉弾戦を制したソットサスは昨年の3着馬。直近2走の敗戦で人気の盲点になっていたとはいえ、シーズン開幕前には古馬戦線の主役と目されていた実力馬だ。父のシユーニはフランスの2歳G1ジャンリュックラガルデール賞を制した天才肌のマイラーで、今年の仏1000ギニー馬ドリームアンドドゥなど、産駒も多くはマイルを主戦場としている。2400メートル級で本領を発揮したソットサスは、この父の産駒では異端といえる存在でもある。

 ソットサスが示したスタミナ資質は、昨年の勝ち馬ヴァルトガイストの父でもある母の父ガリレオに負う部分が大きいのだが、特異な道悪適性のヒントは配合面にも潜んでいた。ガリレオの父サドラーズウェルズの祖母であり4代父ヌレエフの母でもある名牝スペシャルの5×5。10年前に2分35秒3のタイムでナカヤマフェスタを抑えたワークフォース、さらにさかのぼれば2分38秒台の決着だった99年にゴール寸前まで先頭を守ったエルコンドルパサーも同様にスペシャルの近交を内蔵していた。ソットサスもまた、決着タイム2分39秒30という消耗戦を乗り切る“切り札”を隠し持っていたのである。 (サラブレッド血統センター)

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