藤井正弘の血統トピック

“ディープ超え”キズナに怪物種牡馬の予感

[ 2020年3月12日 05:30 ]

 先週はJRA3場でキズナ産駒とロードカナロア産駒がそれぞれ7勝の固め打ちをやってのけた。特に昨年のルーキーサイヤーである前者の産駒は、チューリップ賞勝ちのマルターズディオサを筆頭に全馬が3歳世代。何とも驚くべき“集中打”と言えるだろう。
 今回のキズナのように、初年度産駒のみの稼働1世代で「週間7勝」を記録した種牡馬は、11年5月7日と8日にプリンシパルSのトーセンレーヴ、矢車賞のグルヴェイグなどが7勝を挙げたディープインパクトしかいない。ちなみに先週のキズナ産駒は新馬勝ちのアーヴィンド以下、マルターズディオサを除く6頭が初勝利だった。「週間勝ち上がり頭数」では偉大な父を超えたことにもなるわけだ。

 昨年は国内2歳戦史上最多となる127頭(地方合算)の産駒を出走させたキズナだが、これで3歳世代のJRA累計勝ち馬頭数も10日現在、ディープインパクトの62頭に次ぐ2位の42頭(地方合算は44頭でサウスヴィグラスの49頭に次ぐ3位)。うち重賞勝ち馬は函館2歳Sのビアンフェ、北海道2歳優駿のキメラヴェリテ、京成杯のクリスタルブラック、そしてマルターズディオサで4頭目となった。当時とはレース数が違うにせよ、これは最終的に12頭の重賞勝ち馬が出たサンデーサイレンスの初世代をもしのぐ空前のハイラップ。種牡馬キズナは稼働数だけでなく、アベレージ、さらには長打力においても既にモンスター級の可能性を示しているのである。(サラブレッド血統センター)

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