藤井正弘の血統トピック

【フェブラリーS】アルクトス 貴重な遺伝子を伝える

[ 2020年2月20日 05:30 ]

 ゴールドアリュール産駒の二枚看板がサウジに旅立ち、父馬単位では久しぶりの無政府状態となったフェブラリーSだが、母の父に着目すると種牡馬アグネスタキオンの存在感が際立つ。2年前の覇者ノンコノユメ、当コースのユニコーンS勝ち馬ワイドファラオ、出走馬決定順17位の武蔵野S3着馬ダノンフェイスと、母の父としての産駒3頭がエントリー。ダート血統としてのアグネスタキオンの根強い影響力の証といえるだろう。

 さらに今回のアグネスタキオンは母の父としてだけではなく「父の父」としても有力馬を送り込む。後継のアドマイヤオーラ産駒アルクトス。6戦5勝2着1回という東京ダートコースの鬼である。

 5年前の春に11歳で早世したアドマイヤオーラは、アグネスタキオンが8年の種牡馬生活で残した10頭の後継種牡馬の1頭。血統登録産駒92頭、うちJRA出走産駒53頭というライフタイム累計はリーディング級種牡馬の1年分にも満たないのだが、その中からアルクトスの他にレパードSのクロスクリーガー、プロキオンSのノボバカラと、計3頭のJRAダート重賞勝ち馬が出ているのは驚きだ。統計的に見ればダートサイヤーとしての潜在能力はゴールドアリュール級だった可能性もある。アルクトスにはG1奪取とともに、貴重な血脈の後継者としての期待もかけてみたい。

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