藤井正弘の血統トピック

【凱旋門賞】最強牝馬エネイブルを負かすなら“異分子”日本馬

[ 2019年10月3日 05:30 ]

 未到の凱旋門賞3連覇に挑むエネイブルは最新の世界ランキングのトップ。128ポンド(牝馬の減量加算で実質132ポンド)のレーティングは、出走予定馬の中で次位ガイヤースに6ポンド、着差換算で3馬身差となる。2年前の英オークスに始まったGレース11連勝は英、仏、愛、米の4カ国転戦で記録したもので、常に“戦う女王”を貫いてきた点がエネイブルの凄さ。欧州圏での勝負づけは戦う前から済んでいる。

 この歴史的名牝を負かすとすれば、身びいき抜きで“異分子”の日本勢だろう。7年前、勝利目前のオルフェーヴルを御しきれなかったスミヨンが雪辱を期して手綱を取るキセキは、父ルーラーシップのBMSが88年の優勝馬トニービン。06年に3位入線後失格となった母の父ディープインパクトの汚名返上も懸かる。ブラストワンピースの父ハービンジャーは、その06年優勝馬レイルリンクと同じダンシリ産駒。最有力候補と目されながら故障で出走がかなわなかったタイトルに種牡馬として挑むことになる。フィエールマンはディープインパクト産駒として6頭目の凱旋門賞参戦。母リュヌドールまで100年以上、10代にわたってフランスで血をつないできた牝系には祖母リュートドールの父の父として、後に日本に輸入された73年優勝馬ラインゴールドの名もある。この祖母の半姉リュートアンシャンテは83年の3着馬。血統的にはアウェーの不利よりも“故郷に錦”の可能性を見込んでおきたい。
 (サラブレッド血統センター)

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