藤井正弘の血統トピック

南北両半休で連勝牝馬を生んだ父

[ 2019年4月18日 05:30 ]

 オーストラリアの名牝ウィンクスがラストランとなった13日の豪G1クイーンエリザベスSで有終の美を飾った。馬群の外を突き抜ける圧倒的パフォーマンスは、もはやルーティンワークのようでもあったが、この希代の“連勝女王”の1馬身半差2着に入った日本馬クルーガーの健闘は大いに称賛されるべきだろう。

 ちなみにウィンクスの持ちレーティング125ポンドは、今月発表された最新世界ランキングで香港のセン馬ビューティージェネレーション、米国の牡馬シティオブライトと並ぶトップ。牝馬のアローワンスを加味すると実質的な単独首位となる。今回のクルーガーはウィンクスより2キロ重い59キロを背負っており、着差はほぼ相殺される。机上の計算でクルーガーのレーティングはウィンクスの本年度I(中距離)コラム最高値に近いものとなり、次回の暫定ランキングでは上位に名を連ねることになるはずだ。

 G1・25勝を含む通算43戦37勝、豪州レコードの33連勝で競走生活を終えたウィンクスは、父ストリートクライ、母ベガスショーガール(その父アルアクバル)という8歳馬。現在、ディープインパクトの子を受胎している母はG32着馬で、飛び抜けた良血というわけではないのだが、父のストリートクライで思い出すのは00年代後半から全米を席巻したデビュー19連勝の女傑ゼニヤッタ。南北両半球で歴史的な“連勝力”を発揮した牝馬が同じ父馬から生まれたことは、決して偶然ではないように思う。
(サラブレッド血統センター)

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