藤井正弘の血統トピック

種牡馬入りニードル 距離融通利く“先輩”カナロアの後を追う

[ 2019年1月10日 05:30 ]

 18年JRA賞最優秀短距離馬の勲章とともに種牡馬入りするファインニードルは、高松宮記念とスプリンターズSの国内芝スプリントG1完全制覇を果たした史上4頭目の牡馬。ちなみに“3頭目”は早くも「年度代表馬の父」となった今を時めくロードカナロアである。傑出したスプリンターの生産部門での可能性が再評価されたことは、強力な追い風といえる。

 父のアドマイヤムーンは先に種牡馬入りしたグレード3勝の初年度産駒ハクサンムーン、同じ第5世代の高松宮記念勝ち馬セイウンコウセイを出している当代随一の短距離サイヤー。ただし、現役時に1200メートルを一度も走っていない。Mコラムのドバイデューティフリー、LコラムのジャパンCと宝塚記念に優勝し、Iコラムの香港C2着と、3階級G1制覇に肉薄した希代の万能型だった。種牡馬としてサウスヴィグラス、スウェプトオーヴァーボードといったエンドスウィープ後継と同様にスピードを前面に押し出したのは、血統的な先祖返りと解釈できる。そして当然、同じことはファインニードルにも起こり得る。競走馬として未知の分野だった1600メートル超級にも血統的な適性が潜伏しているというわけだ。

 ファインニードルの血統表には「父の母の父」としてサンデーサイレンスの名がある。これはシャトル供用でもフル稼働している人気種牡馬モーリスと共通する。配合的な汎用(はんよう)性の高さからも相当数の交配オファーが集まることだろう。(サラブレッド血統センター)

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