藤井正弘の血統トピック

ワイルド母系の“越境線”に期待

[ 2018年11月1日 05:30 ]

 今回のJBCスプリント出走予定の地方馬4頭は全馬が交流重賞で好走実績がある。中でも船橋のキタサンミカヅキと浦和のノブワイルドは前走でダートグレードを制しての参戦。どちらも元中央馬であり、久しぶりのアウェーでの戦いは“凱旋”という見方もできる。

 血統面から特に注目しておきたいのがノブワイルド。07年から09年まで「クラシック」を3連覇したJBC開催のレジェンドともいうべきヴァーミリアンの産駒である。

 ノブワイルドの祖母トチノニシキは1984年に当時の宇都宮競馬でデビュー4連勝を飾って中央入りした(地)馬。3歳時にはオークス4着入線を果たすなどクラシック戦線で善戦した後、中京ダート2200メートルのG3ウインターSで2着に入った二刀流の先駆けで、5歳時の金杯でも単勝配当5480円の大穴を叩き出すといった息の長い活躍を見せた。孫の方は正反対のルートをたどり、デビュー2戦目の未勝利を大差勝ちしたスピード能力が地方競馬で再生されたわけだが、いずれにしても中央・地方の垣根を突破する“越境力”は父だけでなく、母系の血にも潜在していた属性といえるだろう。

 ノブワイルドには母の父アンバーシャダイ経由でタフネスの権化、ノーザンテーストの3×4も装備されている。6歳秋を迎えた今がまさにピークの可能性大だ。(サラブレッド血統センター)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る