藤井正弘の血統トピック

国産馬の米砂G1初制覇に見るSS系“帰巣本能”

[ 2018年9月5日 05:30 ]

 1日の米G1ウッドウォードS(サラトガ競馬場、ダート9F)をセレクトセール出身の日本産馬ヨシダが制した。今年5月のターフクラシックSに続くG1・2勝目は、国産サラブレッドによる初の米ダートG1制覇という快挙である。

 15年セレクトセールで9400万円(税別)でケンタッキー州の大牧場にして大オーナー、ウインスターファームの代理人に落札されたヨシダはハーツクライ第7世代となる4歳牡馬。同馬の母ヒルダズパッションはG1バレリーナSなどグレード5勝を挙げ、11年ファシグティプトンノベンバーセールで122万5000ドルの高値で吉田勝己氏に競り落とされた。この母は4歳時のG2インサイドインフォメーションSでガルフストリームパーク競馬場ダート7Fのトラックレコード(1分20秒45)を叩き出している。ゴーンウェスト系のマイナー種牡馬カナディアンフロンティアが偶発的に送り出したスピード馬だが、産駒のネーミングの由来にもなったノーザンファーム代表の目利きはさすがだったというべきだろう。

 ダート適性は母に負う部分が少なくないと思われるヨシダだが、国内を飛び越えて本場のダートG1サイヤーとなった父ハーツクライの新展開を示唆したことは事実。本をただせばサンデーサイレンスは米国のチャンピオンホースである。この父系の大物には例外なく、血統的な“帰巣本能”が潜んでいるということなのかもしれない。(サラブレッド血統センター)

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