藤井正弘の血統トピック

採算を度外視したハイランドピークの衝撃

[ 2018年3月7日 05:30 ]

 新旧3冠馬を父に持つ牡牝の2歳王者が“父子2代”に向けて順調に始動した先週末。一方で普段あまり日の当たらないマイナー種牡馬の産駒の活躍も目を引いた。特に衝撃的だったのは土曜中山の準メイン、ダート1800メートルの上総Sを逃げて楽勝したハイランドピーク。ブライアンズタイム後継の父トーセンブライトにとっては、3世代目にして初めてのオープン馬誕生である。

 トーセンブライトは09、10年兵庫ゴールドトロフィー連覇など地方開催の交流重賞4勝を挙げたダートグレード戦線のバイプレーヤー。2歳から9歳まで正味7年の競走生活を全うした後、11年からは先週の当欄で取り上げたブレイブスマッシュの父トーセンファントム同様、島川オーナーの個人所有種牡馬として供用されている。現1歳までの6世代で血統登録産駒は78頭。ハイランドピークを含めてそのほとんどが島川氏の運営するエスティファームの生産馬で、ある意味で採算を度外視した趣味的な馬産ならではのサプライズともいえるだろう。

 ハイランドピークは3代母が皐月賞で掲示板を確保(91年5着)した今のところ最後の牝馬であるダンスダンスダンス。その父ナイスダンサー4×4を軸にした意匠的インブリードにも注目しておきたい。血統の字面以上の大物である可能性なきにしもあらずだ。(サラブレッド血統センター)

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