ゴールドシップ 元気です ビッグレッドファーム明和で種牡馬生活

[ 2022年8月17日 05:30 ]

放牧地でリラックスした姿を見せるゴールドシップ
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 夏競馬の馬券につながる情報や旬なトピックを独自の視点で掘り下げる「夏ラボ」。今回は7年目の種付けシーズンを終えたゴールドシップ(牡13、父ステイゴールド)を特集。ビッグレッドファーム明和で穏やかに過ごす今と、馬券のヒントになる種牡馬としての特徴をお伝えする。

 北海道新冠町のビッグレッドファーム明和。豊かな自然に囲まれたスタリオンで、7年目の種付けシーズンを終えたゴールドシップが過ごしている。G16勝を挙げた現役時代、担当の今浪厩務員が「暴れん坊」と手を焼いた姿はない。木村浩史スタリオン主任がその優等生ぶりを解説する。

 「見学者は口をそろえて“おとなしい”とおっしゃいます。我々も最初は皆さんと同じで、今浪さんがワーッ!てなっているイメージでした(笑い)。でも初めてここに到着した時、目がギラギラしていなかった。頭の良い馬で分別がつく。手がかかることは全くありませんでした」

 16年シーズンからスタッドイン。当初はステイゴールドと同居する予定だったが、前年に父が急死し、かなわなかった。「せめてお父さんと同じ馬房で…とステイの馬房にシップが入りました」。日高出身の名馬が、日高で種牡馬に。“日高の星”と呼ばれるようになったゴールドシップは父譲りの受胎率の高さと、まな娘ユーバーレーベンのオークスVでその期待に応えてみせた。

 「日高の生産者の皆さまの思いもひしひしと感じています。それに最近では“ウマ娘”のおかげでファンの層が一気に広がりました。若い従業員からシップは特に個性的で人気があるキャラクターと聞いています。見学者のほとんどはシップがお目当て。人の心をつかむこの馬の力を改めて感じます」。先日、当スタリオン史上初めて中学生からファンレターが届いたのだとか。

 須貝厩舎で“ホワイトライオン”とあだ名をつけられた王様気質は健在のようで「縄張り意識は種牡馬の中でも強い方」。その強烈な個性は産駒にも引き継がれ、「ステイゴールド系に共通していることですが、得意な条件で無双できる馬が多い」のが特徴的だ。宝塚記念連覇、阪神大賞典3連覇の偉業は、だてではない。

 主戦騎手の一人だった内田は同馬の武器を「無尽蔵のスタミナと負けん気の強さ」と語る。産駒も別表の通り、長距離戦や雨馬場に強い。木村主任は種牡馬としての立ち振る舞いから、明快にその理由を解説する。スタミナについては「シーズン中は1日3頭の種付けでも淡々とこなします。これは体力があるからこそ。また、スイッチのオン・オフが上手でメリハリがあるので体力温存にもたけている。天性の筋肉の柔らかさも持久力につながるのでは」と分析。雨への耐性については「繁殖牝馬が多少暴れても、くじけません。精神力の強さがあるから雨のような多少の悪条件ではひるまないのでしょう。もう一つが体の柔らかさ。バランスを崩すとそれを取り戻すのに体力を使うが、体幹が優れているのでフォームが崩れない。道悪でも普段と変わらず走れます」

 今年は96頭の繁殖牝馬と交配。背中、腰周りに筋肉が増え、すっかり種牡馬らしい体つきになったゴールドシップは「心身ともに厚みが出てきました。馬体のトップラインも奇麗で、今が種馬として脂が乗っている時期です」と木村主任。近い将来、さらなる大物産駒が出てくるかも!?シップのように誰からも愛される個性派の登場を楽しみにしたい。

 《ユーバーレーベン 休み明け大丈夫》代表産駒ユーバーレーベンは札幌記念に向けて札幌競馬場で調整を進めている。ドバイシーマクラシック(5着)以来の実戦。矢嶋助手は「少し休み明けの感はある」とした上で、「お父さんの血なのか、やる気さえ出せば走る子。力強い走りをするし、洋芝にも実績があるので」と期待。ビッグレッドファーム明和のスタリオンではユーバーレーベンの父ゴールドシップと母の父ロージズインメイは向かいの馬房で過ごす“お向かいさん”。レース当日は一緒にエールを送るに違いない。
 

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2022年8月17日のニュース