【AR共和国杯】アンティシペイト 待望の本格化!国枝師「本物になってきた。タイトルを待ち望みたい」

[ 2021年11月4日 05:30 ]

3頭併せて追い切るアンティシペイト(中央)(撮影・西川祐介)
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 混戦G2を一刀両断にするナタの切れ味だ。「第59回アルゼンチン共和国杯」(7日、東京)の追い切りが3日に行われ、前走快勝で勢いに乗るアンティシペイトが息の長い末脚を披露した。このレースに3頭出しをかける国枝栄師(66)がタイトルを待ち望んできた遅咲きのステイヤー。天皇賞・秋をエフフォーリアで制した横山武史(22)との初コンビで挑む重賞初舞台へ万全の態勢を整えた。

 名は体を表すという。英語で「待ち望む」の意味を持つアンティシペイト。その追い切りを見届けた国枝師が口にしたのも馬名と同じ言葉だった。「ようやく本物になってきた。重賞タイトルを待ち望みたい」

 本格化したステイヤーの見本のような追い切りだ。父ルーラーシップ譲りの胴長の巨体をゆったりと伸ばす。緩さを解消したトモの筋肉を収縮させながら、じわじわとギアを上げた。刃先を薄く研ぎ澄ませたカミソリの切れ味ではなく、長持ちするように厚く鈍角に研がれたナタの切れ味。ステイヤーの末脚でワンデイモア(3歳2勝クラス)、サトノエルドール(5歳オープン)と併入した。

 「調教駆けしない馬だからこの動きで十分」と語る国枝師は、才能の実が熟すまで辛抱強く待つスタンスで知られる。鳴かぬ競走馬を鳴くまで待てる調教師。「待ち望む」と命名されたステイヤーも緩さを解消するまで無理に仕上げず、才能が開花するのを持ち続けた。3歳春にデビュー4戦目で初勝利。その後、レース間隔を空けながら2400メートル、2600メートルと距離を延ばして3連勝したが、菊花賞は賞金除外。再び間隔を空けて自己条件をコツコツと歩んだ。「大型馬で時間がかかったけど、急がずにじっくり仕上げた」と言う。先行しながら詰めを欠いて惜敗続きだった3勝クラスも前走で勝ち上がった。前々走から着用しているブリンカーの効果だ。「気持ちが安定しないから着けてみたところ、後ろからこれまでにない脚を使ってくれた」

 鞍上は前走時の横山和から横山武へ兄弟リレー。「兄さんのアドバイスをもらってどんな競馬をするか。エフフォーリア(天皇賞・秋)みたいに強気に乗られると困るけどね」と国枝師はニヤリと笑った。次週からエリザベス女王杯には秋華賞優勝アカイトリノムスメ、ジャパンCにはカレンブーケドール、阪神JFにはアルテミスS勝ちのサークルオブライフ…と今秋もターフを席巻する国枝厩舎。G1のはざまに組まれたG2は重賞タイトルを待ち望んできたステイヤーの出番だ。

 《3勝クラスVから乗るぞ出世コース》前走3勝クラスからの臨戦でアルゼンチン共和国杯に挑み、ここで重賞初制覇を飾った馬の代表例が15年覇者ゴールドアクター。オクトーバーS勝利後に当レースVをステップとして、次戦の有馬記念も制した。ほかに11年トレイルブレイザーは古都S2着から格上挑戦で優勝。のちに京都記念Vや海外重賞に挑戦した。08年スクリーンヒーローはオクトーバーS2着から制覇し、次戦のジャパンCも勝った。

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2021年11月4日のニュース