【川崎】騎手紹介④ 着実な進化を続ける伊藤裕人「毎年、勝利数を更新していきたい」

[ 2021年8月27日 12:00 ]

着実な進化を続ける伊藤裕人
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 川崎競馬の伊藤裕人騎手(31)は、デビュー10年を過ぎてから着実な進化を遂げている。

 初の重賞制覇は19年6月の優駿スプリント(大井)。18歳だった09年4月の初騎乗から10年後だった。6番人気のナガタブラックに騎乗し、好位から直線の中間で抜け出すと、他馬の追い上げを抑えた。「もともとゲートはクセのある馬だったんですけど、重賞の前走でこの馬と戦って勝ったので、一発あると思って臨んだレースでした。うまく乗って勝ったのが印象深いですね」と振り返る。

 初重賞から1年3カ月後の20年9月、スパーキングサマーカップでは重圧のかかる代打騎乗で重賞2勝目を飾った。船橋競馬所属騎手から複数の新型コロナウイルス感染者が判明したため、急きょグレンツェントに騎乗。それでも1番人気に応え、直線の豪快な伸び脚で勝ち切った。「馬の能力を出し切れば勝てるという思いだったので、いい意味の集中力があったと思います。今まで乗った中で一番の会心のレース」と初騎乗ながら結果を残した。

 競馬好きだった父の後押しで、騎手の道を選んだ。岩手県出身で、幼い頃はしばしば盛岡競馬場で競馬を目にしていた。中学校では野球少年だったが、高校進学後に父から「騎手をやってみないか」と言われた。乗馬経験はなかったが競馬学校へと進み、知人の紹介もあり、故郷から離れた見知らぬ土地の川崎での挑戦を選択した。

 川崎競馬所属では、特に町田直希騎手と親しくしているという。「自分がデビューした時からトップにいる人なので、レースとかも見習うところはいっぱいありますね。一番フェアプレーな人なので」。身近な先輩の立ち居振る舞いを手本にしてきて、今年は往年の名騎手・佐々木竹見氏が選ぶベストジョッキーで特別賞を受賞した。「フェアプレーを心掛けて勝つというのが理想」と信念を貫いている。

 フレンドリーな性格で、コロナ禍となる前は全休日の前日に騎手仲間らと酒を酌み交わすことも多かった。最近の趣味は漫画。現在はまっているのは「少年ジャンプ+」で連載されている「SPY×FAMILY(スパイファミリー)」。野球少年だったこともあり、「MAJOR」もお気に入りの作品だ。

 ケガをして騎乗できないときでも「レースを見て勉強する機会」とプラスに捉え、その経験が実を結んできている。「毎年勝利数を更新して、欲を言えば毎年一つずつ重賞を勝ちたい。積み重ねればいつかはリーディングジョッキーになれると思っています」。頂点を見据えて、精進を続けている。

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2021年8月27日のニュース