【関屋記念】ロータスランド 重賞初V!夏のマイル王に王手 最内突き抜けた

[ 2021年8月16日 05:30 ]

<第56回関屋記念>ロータスランド(右端)は最内を突いて一気に抜け出し重賞初制覇(撮影・郡司 修)
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 サマーマイルシリーズ第3戦「第56回関屋記念」が15日、新潟競馬場で行われた。3番手を進んだ4番人気が内から突き抜けJRA重賞初V。3月開業の辻野泰之師(39)はJRA重賞挑戦9度目で初制覇。長年在籍した角居勝彦厩舎から引き継いだ素質馬を見事開花させた。

 「世界の角居イズム」が雨上がりの越後路で花開いた。デビュー10戦目の外国産馬ロータスランドが鮮やかな重賞初V劇。初コンビの田辺は今年3月に開業した39歳気鋭・辻野師のアドバイスに機敏に呼応した。

 「最後1頭になるとフラフラする面があると聞いていたので…。その点だけ気をつけた」

 横山典マイスタイルが逃げると、3番手インで悠々と続く。外回り659メートルの長い直線。1日新潟でJRA通算1000勝を達成したばかりの巧腕が光った。粘るスタイルの外でなく、なんと最内へ。ラチ沿いを一瞬で抜け、勝負あった!!

 今年のJRA重賞初V(通算36勝目)を飾った田辺からは笑みがこぼれた。

 「最初から内を狙ったわけじゃないけど、1頭になったときの癖も聞いていたし、ラチ沿いを走った方が集中できる…と。内から外に出すとロスもあるので」

 辻野師は開業5カ月で重賞初V。06年秋から角居厩舎の厩務員や助手として研さんを積み、ウオッカ、ロジャーバローズなど多くの一流馬に携わった。報道陣のスポークスマンとしても快く対応してきた。2月に勇退した角居師から引き継いだ愛馬で大きな1勝。

 「角居先生にいい報告ができると思います」

 指揮官は静かに笑った。体質強化とともに、引き継いだ3月以降は5戦4勝の快進撃。鞍上、愛馬への賛辞も忘れなかった。「田辺君がこれまでのVTRを見てくれたのでしょう。この子の特長を引き出してくれた。(助手時代の)デビュー前から凄く能力を感じていた馬。ツメの不安も今はなくなり、力を出せるようになった。硬いところがある馬なので(日曜未明までの)雨は、恵みの雨だったと思います」

 全4戦で行われるサマーマイルシリーズは1戦目の米子Sに続く2勝目。合計20ポイントで、2位アンドラステ11ポイントを離し、サマー王者に大きく前進した。同師は「サマーマイルは意識してませんでしたが、何とか重賞を獲らせてあげたいと思っていました。いったん放牧に出し、次に備えたい」とご褒美の夏休みを進呈。田辺は「まだフワフワしていて、もっと頑張れそうという中で勝ち切ってくれた。強い相手でもやれる感じがする」と全てのギアを出し切ってないパートナーに成長の余地を感じていた。秋の気配も漂い始めた越後路での大収穫。ロータスランドには実りの秋が待っているはずだ。

 ◆ロータスランド 父ポイントオブエントリー 母リトルミスマフェット(母の父スキャットダディ)牝4歳 17年1月31日生まれ 栗東・辻野厩舎所属 馬主・小林英一HD 生産者・米国Dr.Aaron Sones&Dr.Naoya Yoshida 戦績10戦5勝 総獲得賞金1億1224万4000円。馬名の意味は「桃源郷」で出典はホメロス「オデュッセイア」。

 ▽サマーマイルシリーズ得点状況 1位ロータスランドを逆転できるのは、2位アンドラステが最終戦の京成杯AH(9月12日、中山)に出走して1着の時のみ。

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2021年8月16日のニュース