団野 今秋イギリス単身武者修行!名門ロジャー・ヴァリアン厩舎へ約50日間、レースなき遠征

[ 2021年7月21日 05:30 ]

団野大成
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 今年の秋は欧州に日本の若手ジョッキーが集結!既に発表されている西村淳也と坂井瑠星の仏国遠征に続き20日、新たに分かったのが団野大成(21=栗東・斉藤崇)の英国遠征だ。身を置くのは世界最大の競馬の街とされるニューマーケット。レースの騎乗を求めた遠征ではなく団野は数年先を見据えた“種まき”の気持ちがあると本紙の取材に語っている。

 団野が渡英するのは夏の札幌開催(9月5日まで)が終了した9月の2週目。研修先として飛び込むのは英国のニューマーケット調教場に拠点を置く名門ロジャー・ヴァリアン厩舎だ。

 「英国はビザの関係からライセンスが取得できないこともあって騎乗は多分、無理だと思います。調教だけになったとしても、それは承知の上。海外に行くなら若いうちに…と思っていました。(師匠の)斉藤崇先生に相談すると、将来を見据えているなら期間は半年でも1年でもいいぞ、とまで言っていただきました。準備も進めてくださって心から感謝しています」

 目的地が仏国であれば日本人の調教師が2人いる。現に西村淳は一昨年の遠征同様に今秋もシャンティイで厩舎を構える小林智師の門を叩くだろう。また、坂井は凱旋門賞に挑むディープボンドの帯同馬エントシャイデンで同国の重賞に騎乗するプランがある。

 しかし、団野は公私で仲の良い2人とはあえて違う英国を選択。ニューマーケットに人脈とパイプはないも同然。遠征の期間も「英チャンピオンS(G1、10月16日)が終了するまで」とあって約50日に及ぶ。師匠が管理するクロノジェネシスが挑む凱旋門賞(10月3日、パリロンシャン)は現地観戦するが、終えた後もまた英国に戻って滞在することになる。「1人暮らしで炊事や洗濯など身の回りのことは全て自分でやります。英会話も習っているけど、ちゃんとしゃべれる自信はありません。不安だらけです」と首をすくめるが、不安を上回るほどの夢があるからこそ海を渡る。

 「初めての海外で自分に何ができて、何ができないかを見極めたい。将来は海外から、乗りに来い!と言ってもらえるジョッキーになりたいので、今年だけでなく2度、3度と(武者修行は)続けます」

 デビュー3年目を迎えた21歳の団野は今年、重賞2勝(日経新春杯ショウリュウイクゾ、福島牝馬Sディアンドル)と順調に成長。騎乗依頼の多いホープが、騎乗できぬ可能性の高い異国で約50日を過ごすのは極めて異例。それでも団野は荒波が将来の肥やしになると信じている。「自分の強い姿勢はしっかりと示したい」。芯の通った言葉に決意が表れている。

 ◇団野 大成(だんの・たいせい)2000年(平12)6月22日生まれ、滋賀県出身の21歳。競馬学校35期生。栗東・斉藤崇厩舎所属。19年3月にデビューし、初勝利は3月17日の阪神12R。父・勝(まさる)助手の担当馬タガノジーニアスで挙げた。JRA通算120勝、うち重賞は今年の日経新春杯(ショウリュウイクゾ)と福島牝馬S(ディアンドル)の2勝。1メートル61、47キロ。血液型A。

 ◇ロジャー・ヴァリアン 1979年3月14日生まれ、英国出身の42歳。障害騎手としてデビューしたが落馬による手首骨折が転機となり、調教助手を経て11年に厩舎を開業。ポストポンドで16年ドバイシーマクラシック、英インターナショナルSなどG1・4勝、一昨年はザビールプリンスでイスパーン賞、デフォーでコロネーションカップ勝ち。昨年は英国リーディング7位。今年、通算1000勝をマークした。ノースヒルズの前田幸治代表が所有し、凱旋門賞を目指すビリーヴインラブを管理。夫人は日本人の花子さん。

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2021年7月21日のニュース