【フェブラリーS】8歳エアスピネルの逆襲!24歳の若手・鮫島駿とG1初制覇へ「秘めた能力は凄い」

[ 2021年2月17日 05:30 ]

鮫島克駿騎手を背に坂路でキャンター調整するエアスピネル
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 高齢馬をナメるな!!「第38回フェブラリーS」は歴史的な大混戦だからこそ、歴戦のキャリアがモノを言う。16年クラシック3冠で首位争いを続け、昨年ダートに切り替えたエアスピネルが8歳春を迎え、G1初制覇のチャンスを迎えた。マイルはベスト。決めるのは鮫島克駿(24)だ。 

 強運と言うしかない。エアスピネルの手綱を任された鮫島駿だ。新たにコンビが予定されていた池添が騎乗停止となり、急きょ白羽の矢が立った。コンビを組むのは昨年7月のプロキオンS2着以来。1週前追い切りで感触を確かめ、驚いたのはひとつ年齢を加えたはずの相棒の躍動感と闘争心を秘めた若さだった。

 「調教の動きは良かったですね。乗るのはプロキオンS以来だったんですが、あの時より動いた。時計も速い。普段、追い切り以外にも乗っていますが、俊敏で全く衰えを感じさせない。精神的にも、いい意味で若いですよ」

 坂路の併走追いで4F52秒1~1F12秒1の好時計を楽に叩き出した。これに先んじる2週前の時点で4F51秒8で動いていたから既にある程度、磨かれた状態だったとはいえ、到底8歳馬の動きには見えない。臨戦過程も万全だ。

 3歳時にはクラシック3冠を戦い抜き、全て掲示板を死守した。重賞3勝を挙げた芝からダートへの起用は大きな決断。新天地となったダートのキャリアはまだ4戦にすぎないが、それも逆に伸びしろと言える。鮫島駿は続ける。

 「秘めた能力は凄いと思いますよ。2着に入ったプロキオンSは初めてのダートで1年ぶりの休み明け。しかも、メンバーがかなりそろっていましたから」

 サンライズノヴァの一撃に屈したが、レッドルゼルやヤマニンアンプリメなどダートの猛者を抑え込んでの2着。鞍上はダート適性とスケールの大きさを感じた。願わくばもう一度、その背に…。思いが通じた。

 「この馬にとって東京のマイルはぴったり合う条件だと思います。競馬が上手で枠にも注文がつかない。乗り方ひとつでチャンスはあると思います」

 勝ち負けを意識させるヒントは昨年の武蔵野Sだ。直線、敢然と抜け出して0秒3差3着。結果論だが、いかにもスムーズすぎた。あとひと呼吸、ふた呼吸ほど、ためが利けば勝ち馬に肉薄できたはず。

 本来なら世代交代の大きな波が押し寄せるフェブラリーS。今年は様相が違う。傑出馬も畏怖すべき新興勢力もいない。「僕は若いけど馬はベテランなので」と鮫島駿。悲願のG1制覇へ、24歳の若武者と8歳の古豪が静かに燃えている。 (オサム)

 《JRA平地G1勝利・8歳以上はカンパニーら4頭》90年以降、8歳以上の馬によるJRAの平地G1挑戦は270回あって、5勝、2着3回、3着4回の勝率2%、複勝率4%。初勝利は09年天皇賞・秋のカンパニー。ダートでは、18年JBCスプリント(京都開催)のグレイスフルリープの1勝のみだ。8歳でJRA平地GI勝利なら5頭目の記録になる。

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2021年2月17日のニュース